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冬におすすめ根菜「大根」~大根で胃腸をサポート~[吉田管理栄養士]

冬におすすめ根菜「大根」~大根で胃腸をサポート~[吉田管理栄養士]

2021年が始まりましたね。年始からまた油断できない状況が続いておりますが、今年も一層自分の身体と向き合い、しっかり免疫力を高めて乗り切っていきたいですね。 さて皆様、お正月はゆっくりとおせちやお雑煮などご馳走を楽しめましたでしょうか。 いつもと違うお正月になってしまった方、お仕事だった方もいらっしゃるかと思いますが、7日は七草がゆで身体をいたわってあげることはできましたか? 1月7日は人日(じんじつ)の節句といい五節句のひとつで、七草がゆを食べて無病息災を願い、また、お正月のご馳走で疲れた胃腸を休めるという意味でも行事として定着しています。 七草がゆは地域によって入れる食材は様々なようですが、基本は「セリ・ナズナ・ゴギョウ・ハコベラ・ホトケノザ・スズナ・スズシロ」の七草を使います。 今回は七草がゆにも入る冬の野菜「スズシロ=大根」についてお伝えしていきます。

大根の旬

 

一般的に多く出回っている大根は青首大根で、旬は11月頃~2月頃です。スーパーなどでいつでも買うことはできますが、冬の大根は甘味が増し、みずみずしいのが特徴で、春~夏の大根は辛みが増します。

 

大根の根の部分に多く含まれる栄養素と特徴

 

・ジアスターゼ(アミラーゼ)

でんぷん分解を促進する酵素です。ごはんなど主食となるような糖質が多い食べ物の消化を助けてくれます。大根は大きく分けて根の部分と葉の部分がありますが、ジアスターゼは根の上の方(葉がある側)に多く含まれ、甘めであることが特徴です。胃腸の働きを助け、胃もたれ予防などに役立ち、胃腸薬の成分にもなっている酵素です。

他にも、プロテアーゼというたんぱく質分解を促進する酵素が含まれ、お肉をやわらかくしたり、たんぱく源となる肉や魚の消化を助けてくれたり、リパーゼという脂質分解を促進してくれる酵素も含まれますので、脂ののったお肉や揚げ物などの消化を助けてくれます。
 
酵素は人の体内で作られ、食べ物の消化に大きく作用しますが、食べ物からも摂取することで、体内の酵素の節約となり、代謝UPにもつながるといえます。胸焼けや胃もたれしやすい方は食べ物の酵素の力を借りてみるのも良いですね。

 

・イソチオシアネート

辛味成分であるイソチオシアネートは、大根を切ったりすりおろしたりすることでミロシナーゼという成分から生成されます。大根の根の先端の方に多く含まれ、辛味が強いのが特徴です。ちなみにわさびやからしに含まれる辛味成分も同様です。イソチオシアネートには殺菌効果、発がん予防、血流改善、消化促進など様々な効果が期待できます。

これらの成分や特徴を考えると、からみ餅やおそしそば、魚やハンバーグなどに添える大根おろしなどは理にかなっているといえますね!
ただ、注意しなければいけないのが、酵素やイソシアシアネートは熱や酸化に弱いということです。火を通さず生のまま、おろしたり切るのは食べる直前に行うことで、これらの成分の損失を最小限に抑えられます。また、大根おろしはしぼりすぎず、汁も摂ることがおすすめ。他にもビタミンCやカリウムなどの栄養素も豊富に含まれています。

 

大根の葉の部分に多く含まれる栄養素と特徴

 

ビタミンCβカロテンなどが豊富に含まれ、抗酸化力UP、免疫力UP、風邪予防などに役立ちます。またカルシウムも豊富に含まれます。ビタミンCに関しては生のままの方が良いですが、βカロテンは油との相性が良いですし、大根葉は固く感じる方も多いと思いますので、さっと炒めて食べるのもおすすめです。

例えば
・大根葉と油揚げ(厚揚げでも)のゴマ油炒め
(お好みで甘めにしたり、鷹の爪でピリっとさせたり)
・刻んだ大根葉とじゃこのまぜごはん
などにすると食べやすいですね。

冬におすすめ根菜「大根」~大根で胃腸をサポート~[吉田管理栄養士]

 

大根メニューのポイント

 

消化に役立つ酵素や栄養成分のことを考えると大根の根は生で食べなきゃいけない、生じゃないと意味がないと思ってしまう方もいらっしゃると思いますが、加熱したら意味のない食べ物、なんて思わないでくださいね。
大根はおでんやお鍋、お味噌汁や豚汁、ぶり大根などの煮物など、温かいお料理にしてもとても美味しいお野菜です。やわらかく煮ることにより大根自体が消化に負担をかけにくくなりますし、汁物なら溶け出した栄養成分が摂れますね。とはいえ折角なら大根の酵素で消化を助けたいな、ちょっと胃が疲れているな、がっつりメニューにしたいけど負担が気になるな、と思ったときには、

・お鍋やお味噌汁の最後に大根おろしをのせておろし汁として楽しむ
・しらすおろしまたはなめたけおろしなどをご飯のお供にする
・ハンバーグやステーキのソースは大根おろしやわさび醤油などにする
・とんかつや、唐揚げはみぞれ煮ににする(大根おろしは加熱せず最後に)

など意識してみると良いですね。

また、大根は薬膳では涼性の食べ物であり、化痰(かたん)といって痰の排出にも役立ちますので、身体に熱がこもっていて咳や粘り気のある痰がでるときなどにもおすすめです。

~竹田先生のおすすめレシピ~
▼「はちみつ大根」(Nadia掲載)
https://oceans-nadia.com/user/229092/recipe/394389

今回は主に大根が胃腸にやさしく消化を助けてくれるというお話をさせていただきましたが、大根一本で上から下まで沢山の栄養素が詰まったお野菜です。
葉が切られて売られているものも多いですが、できれば葉付きの大根にして上から下まで葉も皮も余すことなく食べられると大根の栄養素をしっかり摂れますね。また、干して食べる切干大根はカルシウムや鉄分などが増加しますし、食べ方によって色んな栄養素や味を楽しむことができます。
もちろん葉の固さや苦味、根の辛味が苦手な方はご自身やご家族に合った食べ方で、体調やお好みで大根料理を楽しんでみてはいかがでしょうか。

 

吉田 桃子 / Momoko Yoshida
管理栄養士
くらし薬膳 栄養アドバイザー

最終更新日:2024/10/30 14:04:47