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乾物を使って健康・美容UP~いつもと違う活用法で乾物を楽しんでみませんか?~【吉田管理栄養士】

乾物を使って健康・美容UP~いつもと違う活用法で乾物を楽しんでみませんか?~【吉田管理栄養士】

ストックに便利な乾物、種類も非常にたくさんありますが、何かしら常備されているご家庭も多いのではないでしょうか。 私も乾物は常にストックしてあり、日々の食事作りの中でとても助けられています。 軽くて、小さくて、増える、素晴らしい食品ですが、それ以外にも良いところが山ほどあります。 全ての乾物は挙げきれないですが、日常で使いやすく、とくにおすすめの乾物について解説を致します。 普段何気なく食べているものでも、こんな良さがあるんだと改めて気づいてもらえたら嬉しいです。

乾物とは

野菜、海藻などの食品を乾燥させて長期間保存できるようにしたものです。
水分をしっかり抜き切っているため雑菌が繁殖せず、腐らずに常温で保存しておくことができます。
ちなみに乾物と干物の違いについては、どちらも食べものを乾燥させ水分を抜いたものですが、乾物は野菜や海藻などの植物性の食品で、干物は主に魚介類で、乾物ほど水分を抜いていないことが特徴です。
乾燥させる方法は、そのまま天日干し、加熱加工してから乾燥、凍らせてから乾燥など、様々です。

※フリーズドライとは…急速冷凍→真空状態→乾燥するため、高熱による影響を受けず栄養素、風味が損なわれにくいのが特徴。

 

乾物の主な良いところ

・雑菌やカビなどが増殖しにくく腐らずに保存しやすい
・水分が減る分、味が凝縮し旨味が増しやすくなる
・干したことにより増える栄養素がある(鉄やビタミンDなど)
・戻し汁が出汁代わりとなる食材もあり、出汁をつくる手間が省ける
・皮を剥いたり切ったりする工程がなく時短調理できる

他にも、生ごみが出ない、軽いため買い物が楽、冷蔵庫の場所をとらないという便利さや、賞味期限が長いため買い置きしておいて、買い物に行く時間がなかった日、お野菜が少ないと思ったときのお助けアイテムとしてもおすすめです。

 

乾物の少し残念なところ

・生の野菜のような潤いはないため、歯ごたえ、厚みなどの食感は劣る
・色どりは茶や黒っぽいものが多い
・干したことにより損なわれる栄養素がある(ビタミンCやビタミンB群など水溶性ビタミンやポリフェノール類など)
※栄養価の増減については食材により異なります。

このように一長一短ではありますが、生の食材も使いつつ、上手に乾物を利用できると良いですよね。

 

おすすめの乾物・調理例

◆切り干し大根
乾物の代表的な食材のひとつです。
栄養素は生の大根よりも、カルシウム、カリウム、鉄などのミネラル類や食物繊維がUP。
戻し汁には旨味がたっぷりですので、さっと洗って戻し、汁ごと、煮物や、はりはり漬け風、お味噌汁などの料理におすすめです。
また、和風メニューだけでなく洋風メニューに使うこともできます。
トマトジュースやトマト缶、豆乳で戻し、煮る、スープにする、ツナなどお好みの具材と和え物にして副菜にする、チーズをプラスしてパスタソースにするなど、使い道が沢山あります。
美容や骨の健康、ダイエットにもおすすめの優秀食材です。乾物の中でも歯ごたえが楽しめる切り干し大根、しゃきしゃき感を残したいときは煮すぎないことがポイントです。

◆干ししいたけ
出汁用、煮物用に常備しているご家庭も多いのではないでしょうか。
栄養価は生のしいたけより、カリウム、ビタミンD、葉酸、食物繊維などがUP。
干ししいたけは出汁として使われることも多いと思いますが、出汁をとる(戻す)場合、お湯の使用や、煮ると旨味成分が損なわれますので、お水の使用が◎
時間はかかりますが、水にひたして冷蔵庫に入れておくだけで良いですし、常備しておくと日々のお味噌汁や鍋にすぐ使えるので便利です。
夏に比べ冬は日光からのビタミンD生成が減りやすくなりますので、ビタミンDが豊富な干ししいたけはこれからの時期とくにおすすめです。
独特の香りがすることから苦手な方もいらっしゃるかもしれませんが、カレーに使用することで食べやすくなります。こっそり旨味もUPし、さらに脂溶性ビタミンであるビタミンDは油と合わせることで吸収UPにつながるので相性ばっちりですよ。

◆きくらげ
きのこの一種で、漢字では「木耳」と書きます。黒きくらげと白きくらげがあり、厳密にはキクラゲ科、シロキクラゲ科でさらに細かく分類されるのですが、主に日本で流通しているきくらげを対象に黒きくらげ、白きくらげと表現させていただきます。
栄養価はそれぞれ異なり、黒きくらげには鉄やビタミンDが豊富に含まれるのが特徴です。また、どちらにもカリウムや不溶性食物繊維は豊富に含まれ、むくみ対策や便秘対策におすすめの食材です。黒きくらげは中華炒めやナムルなどで馴染みがある方も多いと思いますが、白きくらげはあまり馴染みがない方も多いのではないでしょうか。
白きくらげもコリコリとした食感を楽しめ、また、薬膳では肺やお肌を潤すと力を持つといわれていますので、秋冬の乾燥が気になる季節にも、おすすめですよ。

竹田先生のレシピも是非ご参考になさってみてくださいね。

~竹田あやこ先生のレシピ~
▼長芋と白きくらげの豚しゃぶゴマポン酢
https://www.kurashi-yakuzen.net/cn4/cn6/cn8/pg2622241.html

乾物を使って健康・美容UP~いつもと違う活用法で乾物を楽しんでみませんか?~【吉田管理栄養士】

◆高野豆腐
そのまま天日干ししてつくる切り干し大根や、干ししいたけと違って、豆腐を凍結して低温熟成した後に乾燥させてつくります。
栄養素は鉄やカルシウムなどのミネラルやビタミンE、イソフラボンなどが含まれ、さらにレジスタントプロテインとって消化されにくいたんぱく質が、食物繊維と似た働きをし、コレステロールを下げる効果などが期待できます。高たんぱくかつ低脂質、低糖質なうえ、嬉しい栄養素がたくさん含まれている高野豆腐、是非積極的に摂り入れていただきたい食品のひとつです。
煮物にするのが定番の高野豆腐ですが、実は色々な使い方があります。
高野豆腐はたんぱくな味が苦手という方もいらっしゃるかもしれませんが、グルタミン酸(昆布やトマトなど)やイノシン酸(鰹節や肉類、魚介類)など旨味成分が含まれる液体を染み込ませることでガラッと変化させることができますよ。

<例1>
戻して細切りにして、野菜やお好みの具材と一緒に炒める(戻すときの水分を水ではなく、和風出汁や鶏ガラ、トマトジュースなどの水分を利用することで、旨味◎)
<例2>
トマトジュースで戻した高野豆腐にチーズを乗せて焼く(グラタン風や煮込みにしても◎)
<例3>
水や出汁で戻して、醤油や生姜など唐揚げの下味をつけて片栗粉をまぶして揚げる(揚げ焼き、ごま油使用、甘辛タレなどお好みで◎)

◆車麩
麩というと、すきやきやお吸い物くらいしかなかなかイメージがつきにくいのではないでしょうか。でもこちらも高野豆腐同様に色々な使い方ができます。ふわふわふかふかな見た目、食感から栄養素があまりないように思えますが、たんぱく質が豊富で脂質も少ないので、お肉を控えたいけどたんぱく質はしっかり摂りたいときなどにも役立つ食品で、実は鉄や亜鉛なども豊富に含まれる優秀食材です。
もちろん、糖質は多く含まれるので、血糖値が気になる方は注意が必要ですが、エネルギーが不足しがちな方や、お子様、高齢の方におすすめですよ。

車麩も高野豆腐同様の調理や、フレンチトースト風にしてスイーツとしても楽しむことができます。
ポイントは水で戻さず、そのままフレンチトースト用の液(卵液、牛乳または豆乳、甘味はお好み)に浸すことです。ジップロックや密閉できる容器に入れて冷蔵庫で一晩くらいつけておくと◎
焼いて、はちみつやシナモンをプラスすれば、免疫UP、冷え対策にもおすすめですよ。

乾物を使って健康・美容UP~いつもと違う活用法で乾物を楽しんでみませんか?~【吉田管理栄養士】

いかがでしたか。
挙げた食材以外にも海苔、わかめ、ひじき、鰹節、昆布、煮干し、桜エビ、寒天、干し芋、ドライフルールなどたくさんの種類があります。
乾物は色味からも地味な食材に思えるかもしれませんが、野菜またはたんぱく源が足りない時のプラス一品、出汁、汁物、メイン料理、おやつなど、様々な形で役立ってくれます。
常備して日々の食卓で活躍させてみてくださいね。

 

 

吉田 桃子 / Momoko Yoshida
管理栄養士
くらし薬膳 栄養アドバイザー

最終更新日:2024/11/14 16:46:19