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マグネシウム足りていますか?~マグネシウムの大切な役割を知って不足させないようにしましょう~ 【吉田管理栄養士】

マグネシウム足りていますか?~マグネシウムの大切な役割を知って不足させないようにしましょう~ 【吉田管理栄養士】

私たちの体に必要なミネラルのひとつであるマグネシウム。 マグネシウムはカルシウムなどとともに骨形成に必要なだけでなく、細胞内液にカリウムに次いで多く含まれるミネラルで、大切な役割を果たします。 日本人は男女ともに不足傾向にあるといわれていますので、今回はマグネシウムの働きや不足したときの影響、摂り方などを解説していきます。

マグネシウムとは

ミネラルの一種で、私たちの体の中に存在するマグネシウムは約20g30gです。
そのうちの約60%は骨に沈着していて、残りの約40%は筋肉、脳、神経などに存在し、300種類以上の酵素を活性化する働きがあります。

 

マグネシウムの働き

◆補酵素・酵素活性
食べたものを消化・吸収したり、代謝し体の機能を正常に保つためには様々な化学反応が必要ですが、その化学反応には酵素が必要です。その酵素の働きを助ける補酵素として働きます。
 
◆骨
カルシウムやリンと一緒に骨や歯を形成しています。骨の強度を保つために大切な栄養素ですが、血中のマグネシウムが不足すると、腎臓でマグネシウムの再吸収が促進されたり、骨からマグネシウムが放出され、血中のマグネシウム濃度を保とうとします。カルシウムとマグネシウムは、ブラザーイオンといわれるくらい密接な関係のミネラルで、体内では2:1の割合で一定の濃度を保ちます。

◆筋肉
カルシウムは筋肉を収縮させる働きがあるのに対し、マグネシウムは筋肉を弛緩(緩める)させる働きがあります。また血管の拡張作用により血圧を下げたり血栓抑制の作用もあります。
 
◆神経伝達
神経の正常な働きに役立っています。神経伝達物質のセロトニンは幸せホルモンと呼ばれ、緊張や不安を和らげストレス軽減に役立ち、不眠や鬱を抑制しますが、マグネシウムはそのセロトニンの分泌を促してくれます。

マグネシウムが不足すると
・足がつる・筋肉のけいれん・しびれ
・疲労・倦怠感・不整脈・頭痛・食欲不振
・吐き気・下痢・便秘・集中力低下
・精神障害・不眠・骨粗鬆症
…などが起こりやすくなります。

 

マグネシウムが失われやすい!

◆飲酒
アルコールによりマグネシウム吸収量が低下し、さらに尿中への排出も増加します。
 
◆ストレス
ストレスを感じるとマグネシウムが消費セロトニン分泌低下・不足精神の不調と悪循環になります。
 
◆偏った食事
精製された砂糖やごはん、パンなど白いものばかり摂ったりファーストフードばかり摂ったりすることでも不足しやすくなります。

チョコレートが無性に食べたくなる人はマグネシウムが不足している可能性があるかも

疲労やストレスがかかったとき、また、とくに気づいていなくても、なんだかチョコレートがすごく食べたい、欲求が抑えられない、という方もいらっしゃるのではないでしょうか。
高カカオのものを少量なら良いと思いますが、マグネシウムなどミネラルを補給してあげることで、疲労やストレス緩和につながったり、甘いものの欲求を抑えることができるかもしれません。
食べたいものから体が欲している栄養素に気づくきっかけになると良いですね。

 

マグネシウム不足を予防しよう!

◆白い主食に偏らないようにし雑穀や麦などを積極的に摂る
◆あおさやひじきなどの海藻、魚介類、大豆製品、ナッツ類、ほうれん草、切り干し大根などを活用する
◆ファーストフードや高脂肪食を控える
◆アルコールやカフェインを摂りすぎない
◆マグネシウムが含まれるミネラルウォーター(硬水)を利用する
◆入浴剤エプソムソルト(硫酸マグネシウム)を活用する(※1

エプソムソルトは芸能人が愛用していると取り上げられたこともあるので、ご存知の方も多いのではないでしょうか。ソルトという名前から塩と思われがちですが、実はマグネシウムなんです。入浴で取り入れることで様々な効果が期待でき、皮膚からの吸収もされるといわれています。

【おすすめポイント】

・お湯がやわらかくなり肌あたりが良い
・ぽかぽかが続きお風呂上がりに冷えにくい
・肌荒れや乾燥を防ぎ、美肌に効果的
・お湯にすぐ溶けて、色や香りがないものもあり誰でも使いやすい
・残り湯を洗濯に使える、塩じゃないので風呂釜もいためない

私も一年くらい前から使用していますが、体の温まりやすさや肌への効果を実感し気に入っています。
香りも楽しみたい方は好きなアロマを組み合わせたり、他の入浴剤と合わせたりすることもできるといわれているので、さらにリラックス効果を狙うのもおすすめです。

 ミネラルたっぷり冬のおすすめレシピ 
【牡蠣とほうれん草のミルクスープ】

 牡蠣、ほうれん草は薬膳では血虚に対応する「補血」の食材、貧血予防にもおすすめのメニューです。

マグネシウム足りていますか?~マグネシウムの大切な役割を知って不足させないようにしましょう~ 【吉田管理栄養士】

〇材料
・牡蠣・・・56
・ほうれん草・・・100g
・玉ねぎ・・・1/2
・バター(オリーブ油でも〇)・・・適量
・牛乳・・・300ml
・水・・・100ml(水と牛乳の割合はお好みで〇)
・調味料(野菜ブイヨンまたはコンソメ、塩、こしょう)・・・適量
(牡蠣を洗う用)
・片栗粉・・・大さじ2くらい
・塩・・・小さじ1くらい
・水・・・適量

〇作り方
牡蠣は片栗粉をまぶして軽く混ぜてなじませる。塩水で洗い、水をかえてきれいになるまですすぐ。水を切り、キッチンペーパーで拭く。
串切りまたはみじん切りにした玉ねぎをバターで炒める。
たまねぎとバターがなじんだら水と調味料を入れ、玉ねぎがしんなりするまで煮る。
④③に牡蠣を入れて再度煮立たせ蓋をして火が通るまで煮る。
下茹でしたほうれん草と牛乳を入れ、温めたら完成。

Point
牡蠣は片栗粉で洗うと臭みと汚れが落ちやすくなります。
さらにひと手間かけられる方は、牡蠣に薄力粉をまぶしてバターで焼いて取り出し、②の工程に進み、④を省いて⑤で牡蠣を追加すると◎
白菜やきのこなどお好みの具材をたっぷり入れてお鍋にするのもおすすめです。隠し味程度に味噌を入れるとコクがUP

 

さいごに

カルシウムほどマグネシウムは注目されにくい栄養素かもしれませんが、それはカルシウムよりも機能が知られていないためといえます。
カルシウムは骨や歯に99%含まれ、骨の健康のために欠かせないことがわかりやすいですよね。
もちろんカルシウムも丈夫な骨を保つだけでなく大切な働きはほかにもあるのですが、
「骨の健康=カルシウム」が昔から定着し、カルシウム強化の食品などもたくさん出回っているため、
カルシウム摂取の意識も高まりやすいかと思います。
ですが、今回お話させていただいたように、マグネシウムも私たちの健康を維持するために欠かせない大切なミネラルのひとつです。
是非意識してしっかり摂っていっていきたいですね。

 

 

吉田 桃子/Momoko Yoshida
管理栄養士
くらし薬膳 栄養アドバイザー

最終更新日:2024/11/15 10:32:07