JKA日本くらし薬膳協会
冬の血圧に注意!~ヒートショックや冷えによる不調の対策~ 【吉田管理栄養士】

冬の血圧に注意!~ヒートショックや冷えによる不調の対策~ 【吉田管理栄養士】

2月4日は立春で、暦のうえではもう春ですが、2月は一年の中で最も寒い時期となります。 真夏の暑さもつらいですが、厳しい寒さもつらいものがありますね。 冷えは健康面に大きな影響をあたえますが、そのうちの一つに血圧の変動があります。 「ヒートショック」という言葉は有名ですね。今回は血圧とヒートショックについて解説いたします。

冬は血圧が上がりやすい!

・寒いため、体の熱が逃げないように、交感神経が刺激され血管が収縮して細くなる。
・夏に比べて発汗が減り、塩分が排泄されにくくなる。
・食欲が増しやすい、鍋物が多くなる、などの理由から塩分摂取が多くなりがち

などの理由から、個人差はありますが、冬になると血圧が10mmHg程上がる方が多くいらっしゃるようです。

 

ヒートショックとは

急激な温度差により血圧が変動し、心臓や血管の疾患、脳疾患が起こることをいいます。
とくに高リスク・・・肥満、高血圧、糖尿病、動脈硬化、不整脈などがある方
めまい、立ち眩みなどの症状が出たらとくに注意が必要です。

 

こんな場面に注意

温度差が生じやすい場所 (温かい場所から寒い場所もしくは逆)

冬の血圧に注意!~ヒートショックや冷えによる不調の対策~ 【吉田管理栄養士】

現代の家屋は気密性が高く設備も充実しているため、昔程、家の中で温度差を感じることは少ないかと思いますが、10度以上の温度変化がある場所ではとくに注意が必要です。
車から降りたときや、朝のゴミ捨てなど、ちょっとした瞬間も注意が必要です。
面倒くさがりな方や自分は大丈夫と思う方も、油断は禁物。ヒートショックは一瞬のことで起こる危険な現象です。

 

急激な温度変化を起こしにくくする

・急に起き上がったり、立ち上がったりしない(伸びをしたり、ゆっくりした動作を意識)
・外出前には家の中の温度を少し下げ、ストレッチや運動をする
・脱衣所やお風呂のドアを開けておき、温かい空気が入るようにする
・浴室暖房やヒーターなど設備があれば利用する
・浴室や露天風呂に移動する際は、タオル(乾いたものや温かいもの)を巻いたり肩にかける
・お風呂はかけ湯やシャワーを浴びてから浸かる
・朝方エアコンのタイマーなどを利用し部屋を暖める、羽織るもの、靴下などを枕元におく
・トイレは暖房便座や温かい便座シートを利用したり、窓がある家は保温カーテンなどで工夫する
人感センサーの小型ヒーターなどもありますので、トイレや脱衣所などに設置するのも良いですね。

 

生活習慣で気をつけること

身体を温める・血行をよくする食材
生姜・長ねぎ・玉ねぎ・にんにく・かぼちゃ・鶏肉・羊肉・えび・青魚・納豆・シナモン・よもぎ・カカオ・くるみ・アーモンドなど

これらは免疫力UPにもおすすめです。
白砂糖や夏野菜など身体を冷やす食材には注意。
 
血行をよくする行動
・座りっぱなしにならないようにする(デスクワークの人は注意)、こまめに肩回りのストレッチ、ふくらはぎのマッサージなどを行う
・ウォーキングなど無理のない運動を定期的に行う
・できれば毎日入浴をする、入浴剤を使う
 
減塩につながる調味料や食材
酢、レモンやゆずなど柑橘類、トマト、ごま、コショウ、とうがらし、七味、山椒、カレー粉、バジル、しょうが、にんにく、わさび、からし、昆布、干し椎茸や舞茸などきのこ類、切り干し大根、ごま油、オリーブ油など。

減塩の商品もたくさんあるので利用するのも良いかと思いますが、減塩にした分、脂質や糖質を多くしてコクを出している場合もありますので、原材料や栄養成分を確認、比較してみると◎
香り、酸味を利用することで塩分を少なくしても美味しさを感じることができます。また、乾物は戻し汁も使うことで出汁代わりになりますね。
更に香りの成分により消化促進や食欲低下防止、クエン酸により疲労回復効果などの効果も期待できますよ。

飲酒、喫煙はとくに注意
アルコールによる血圧の影響は様々です。一時的に血圧を下げることもありますが、長期間の飲酒や量によって血圧を上げ、高血圧のリスクとなります。また、たばこに含まれるニコチンは、血管を収縮させ血圧を上げるといわれています。喫煙はとくに動脈硬化のリスクとなります。

【血行促進メニュー例】

・鮭のちゃんちゃん焼き
具材:鮭、たまねぎ、きゃべつ、ピーマン、人参など

・さばのトマト煮
具材:さば(水煮缶でもOK)、たまねぎ、カットトマトなど

・鶏肉とかぼちゃの黒酢炒め
具材:鶏肉、かぼちゃ、たまねぎ、蓮根など
 
高い抗酸化力や血流改善に役立つ栄養素を含む食材や、薬膳では体を温める作用をもつ食材を中心にしたメニューです。野菜の旨みや酸味などを利用することで減塩にも◎
様々な方面からアプローチすることにより、冷え対策、高血圧や動脈硬化などの予防、美容など幅広く嬉しい効果が期待できますね。

冬の血圧に注意!~ヒートショックや冷えによる不調の対策~ 【吉田管理栄養士】

さいごに

いかがでしたか。
高血圧を指摘されたことがある方や、習慣的に血圧測定をされている方はちょっとした変化にも気づきやすいかと思いますが、普段血圧が高くなく、血圧測定を滅多にされない方も意識をむけていくと良いですね。また、冷えは万病のもとといわれます。放っておくと血圧だけでなく、胃腸障害や免疫低下など様々な不調につながりますので冷え対策をしっかり行って残寒を乗り切っていきましょう。

 

 

吉田 桃子/Momoko Yoshida
管理栄養士
くらし薬膳 栄養アドバイザー

最終更新日:2025/04/01 11:54:25