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太陽の光(日射)には見える光(可視光線)と、見えない光(紫外線、赤外線)があります。 可視光線よりも波長が短いものが紫外線、波長が長いものが赤外線で、可視光線よりも波長が短くても長くても人の目では見ることができません。 さらに紫外線(UV=ultraviolet:ウルトラバイオレット)は3つに分類されます。 UV-A…ほとんど地表に届く。 UV-B…ほとんど大気層で吸収されるが、一部は地表に届く。 UV-C…大気層で吸収され地表には届かない。 私達の体に影響を及ぼす紫外線はUV-AとUV-B
◆UV-A 肌の奥深くまで届くため、コラーゲンやエラスチンにダメージを与え、しわやたるみなどの原因となります。 また、雲や窓も通過し、長時間浴びることでじわじわと肌のダメージにつながります。 ◆UV-B 肌表面の細胞を傷つけ、DNA損傷への影響や、皮膚ガン、シミ、ソバカスのリスクにもなります。 また、短時間浴びただけでサンバーン(赤い日焼け)や、サンバーンのあとのサンタン(黒い日焼け)の原因にもなります。 ※メラニン量により日焼けの仕方には個人差があります。 紫外線とビタミンD生成 紫外線が与える影響は悪いことばかりではなく、大切な役割を果たしてくれる面もあります。 ビタミン類のほとんどは体内で生成されませんが、ビタミンDは日光(紫外線)を浴びることにより皮膚で生成することができます。 ただし、紫外線量は季節や天候、地域にもよりますので、日光を浴びる目安時間なども異なります。 ビタミンDの目安量については後述しますが、夏場の日中は数分の日光浴で、一日に必要なビタミンDの半分以上をつくることができるため、何時間も浴びる必要はありません。 それよりも夏場は紫外線による様々な健康被害へのリスクも高まりますので、適切に対策することが大切です。 ビタミンDの種類と供給源 ・前述のとおり、紫外線により皮膚で生成されるビタミンD3 ・食品から摂取されるビタミンD2、ビタミンD3 ※ビタミンD2は主にきのこ類、ビタミンD3は主に魚類に多く含まれます。ビタミンD2とD3の代謝や効力は同等といわれていますので、とくに摂取基準では分けられておらず、ビタミンDとして表されています。
ビタミンDの目安量について ビタミンDの目安量は男女ともに成人の場合は8.5㎍/日であり、そのうちの5.5㎍を紫外線で産生する場合の日光に当たる時間を地域、季節、時間別に表したものが下の図の通りです。 つくばを例に挙げると、ビタミンD5.5㎍を産生するために夏の12時と冬の12時は約20分弱の差があります。
引用元:「日本人の食事摂取基準」(2020年版)
お仕事や日常生活で外出が多い方は、とくに意識しなくても、紫外線からのビタミンD供給は足りてくるかと思いますが、以下に当てはまる方や食事からのビタミンD摂取量が少ない方は注意が必要です。
・朝と夕の通勤以外、日中は外出する機会がないオフィスワークの方 ・夜間勤務の方 ・在宅ワークが中心の方 ・紫外線を極端に意識し、対策をしすぎている方 ・外出が少ない、外出を避けている高齢者や傷病者、妊産婦 など 体質上、日光に浴びることができない方もいらっしゃると思いますが、その分、しっかり食事で補っていくことが大切です。
ビタミンDが多く含まれる食品 きくらげ・干し椎茸・舞茸・いわし・にしん・鮭・かつお・まぐろ・あじ・ぶり・さんま・しらす干し・たまごなど ~ 夏のおすすめメニュー ~ 【いわしのトマト煮】 <材料> いわし、トマト、たまねぎ、にんにく、オリーブオイル、薄力粉、ブイヨン、塩、こしょう いわしは缶詰、トマトはパックのものを使うととても簡単にできます。 <作り方> ①いわしの下処理をする。(頭と内臓を取り除く、洗う、水気を拭き取る、塩をふる)缶詰の場合は省略。 ※いわしのくさみが気になる場合は、いわしの下処理後、塩と酒をふり、少しおいて水洗いして、しっかり水気を拭き取る、焼くときに白ワインを使うなどすると〇 ②トマトを湯剥きし、ざく切りにする。トマトパックの場合は省略 ③たまねぎ、にんにくをみじん切りにする。 ④オリーブオイルで②、③をよく炒める。 ⑤いわしに薄力粉をまぶし、両面を焼く。 ⑥④にブイヨンを入れ、沸騰したら⑤を入れて、10分ほど煮る。水分量はお好みで調整すると〇 ⑦塩こしょうで味を調えて完成。 パセリやチーズ等を合わせたり、パスタソースにしたり、お好みでアレンジするのも〇
小さいお子様向けには、小骨が気にならない缶詰を利用したり、にんにくを控えめにして味付けにケチャップを使用するのもおすすめです。
いわしはビタミンDのほか、DHAやEPA、カルシウムなどが豊富に含まれる食材です。 また、薬膳では、夏は暑さにより「心(しん)」が乱れやすくなるといわれ、動悸や不眠、イライラ、息切れなどの症状がある方は心の乱れのサインかもしれません。いわしは「安神(あんじん)」といって心を落ち着かせる効能などももつといわれます。 暑い時期は夏野菜を多く摂り入れる方も多くいらっしゃると思いますが、エアコンのあたりすぎや、入浴せずシャワーだけで済ましてしまうことなどによって、体が冷えすぎてしまわないようにすることも大切です。いわしは温性の食材ですので、夏野菜とのバランスをとって冷え対策にもつなげることができます。
日本人のほとんどの方はビタミンDが不足しているといわれており、女性はとくに閉経後、骨粗鬆症になる方も多くいらっしゃいます。 カルシウムなどのミネラルや他の栄養素もしっかり摂りつつ、是非ビタミンDにも目を向けてみてくださいね。
吉田 桃子/Momoko Yoshida 管理栄養士 くらし薬膳 栄養アドバイザー
最終更新日:2025/04/11 16:05:17
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