JKA日本くらし薬膳協会
反抗期・思春期・いじめなど…子育ての悩みにこそ薬膳的思考法とおでんが効く?!

反抗期・思春期・いじめなど…子育ての悩みにこそ薬膳的思考法とおでんが効く?!

現在4野生児の母として、奮闘中…いやもはや修行中の毎日です。一言で「子育て」といっても、4人いればまさに4者4様。当たり前のことながら、性格から考え方まで全く違うのが面白いところでもあり、また悩ましいところです。家族とはいえ別の人間、そりゃ違って当たり前!と頭ではわかっていても、なかなかそれを育児に活かすのは難しいものですね。そんな毎日の中でふとひらめいたのが「もしかして、子育てと薬膳って似ているのでは?」ということ。薬膳における小手先のテクニックではなく、その根底にある考え方の原理原則を活かすことで、少しでも生きやすくなるといいなと思って我が家では子育てに薬膳の考え方を取り入れています。

こんな方に是非読んでほしい

日々の子育てに悩んでいる方
親子の人間関係に悩んでいる方 

薬膳の根底にあるのは「己を知る」ということ

薬膳というと、からだに良い万能な食事法や誰しもに効果があるような錯覚を受けることあるのではないでしょうか。
「からだに良い食材は何ですか?」というような質問を時折耳にしますが、実は「そんなものはありません」というのが正解ではないかと私は考えています。
薬膳において一番大切なのはまず「己を知る」ということ、そして「環境を知る」ということに尽きます。その人が元来持つ体質とその人や食材が育った環境、そして心身の状態によって一人一人に必要なものは違います。
誰かが言っていたからそれを信じるというだけではなく、それが本当に必要なものなのかどうかを見極めるには何よりも己を知るということがとても大切です。それはどんな人間関係においても同じではないでしょうか。

反抗期・思春期・いじめなど…子育ての悩みにこそ薬膳的思考法とおでんが効く?!

瞑想をする修行僧(インド/リシケシ)

万能な薬などない

私は薬膳だけでなく、インドの古代医学アーユルヴェーダの考え方も好きなのですが、その世界で耳にした逸話があります。ある日、薬草について教えていた教師が生徒に問題を出したそうです。「絶対毒にはならない薬草を持ってきなさい」と。生徒たちは山へ分け入って思い思いの薬草を手にして、その効果を述べました。しかし一人の生徒だけは、何も持ってきませんでした。教師が理由を尋ねると「薬にしかならない薬草はありません」と答えました。どんなに効果のある薬草であっても、それを摂取する方法や摂取する人の体質や環境、季節、用いる量によって毒にも薬にもなるというのがその理由でした。それはもちろん薬膳でも同じです。だからこそ自分の持っている体質と環境や状況を見極めて用いるということがとても大切なのです。誰しもにとって「万能」と言えるものはないからこそ、勉強しがいのある奥深い分野であるのが薬膳の良いところです。この考え方こそ薬膳の真髄ではないでしょうか。

反抗期・思春期・いじめなど…子育ての悩みにこそ薬膳的思考法とおでんが効く?!

旅するチベット医が持ち歩いている薬袋

 

反抗期・思春期・いじめなど…子育ての悩みにこそ薬膳的思考法とおでんが効く?!

体調や体質に合わせて調合してくれる(インド北部)

誰しもにとって素晴らしい人というのはありえない

先ほどの例でいえば万能な薬草が存在しないように、人間関係において誰にとっても素晴らしい人というのもいなければ、誰にとっても最低な人というのもいません。生まれ持った性質と育った環境そして今の状況、それとどのような人がどのタイミングで出会うのかによって、あなたにとっては素晴らしい人が他の誰かにとっては最低な人となり得るかもしれない。そんなことが人生では数多く起こりますね。大人になってしまえば「全員に好かれることはない」というのが身にしみてくるものの、子どもにしてみれば限られた環境の中で好かれるかどうかということが時に世界の全てと思えるくらい大きな出来事であることも…学校や家庭という限られた世界の中で、人間関係に悩んだ経験は誰しもあるのではないでしょうか。 

「おでん」はまさに個性を活かし合う間柄

それにも関わらず、いざ親になるとつい素晴らしい人になってほしいと願うばかりに他の子と比べてしまうことがありませんか。私もそんなことがよくあります。そんな時に役立つ魔法がひとつ!誰かと我が子を比べてしまいそうな時には是非「おでん」を思い浮かべてください。 大根も卵もこんにゃくも、全く違う個性がひとつの鍋で仲良く共存してひとつの料理になっています。人間関係もおでんと同じ、個性を活かしつつ同じ鍋で共存しているからこそ、煮こめば煮込むほどにいい味が出てくるのではないでしょうか。家族もそれぞれ得意なこと苦手なこと、そして性格が違うから面白いと心の余裕を持てるようにしたいものです。 

反抗期を乗り越える!薬膳の考え方を子育てに取り入れる簡単な方法

反抗期や思春期ともなれば、真っ向から人間関係について説いたところで、全く聞く耳を持ってくれないことも多いですよね。そこで我が家では、人間関係の話を食べ物に例えて伝えています。例えば食べ物にはそれぞれ生まれ持った性質や味があること、それは調理法や季節によって変わることもあること、そして組み合わせや食べるタイミングによって毒にも薬にもなり得ることなどです。薬膳では当たり前の考え方ですが、身近な食べ物のことであり小さな子どもにもわかりやすい例えです。薬膳の考え方を日々の会話に取り入れて、家族のコミュニケーションに役立ててみませんか?

 親もまた個性ある人間なのだ

子育てに薬膳の考え方を取り入れる時に是非忘れて欲しくないのが、親もまた個性のある人間だということです。親として子どものことばかりを気にするのではなく、自分自身についても「おでんの具」としてみることができれば、日々がもう少し面白くなるかもしれません。ちなみに私は、厚揚げのように煮こめば煮込むほどしわくちゃになれども、味のある親になれるよう奮闘中の毎日です。日々修行! 

 

薄田泰代 / Yasuyo Susukida
現代風刺写真家
NOMAD ART JOURNEY/susutabi主宰
インドのアユルヴェダ、チベット医学そして多様性多面性せられて渡印
現在帰国日本とインドの精神的2拠点生活けている。4野生児として、奮闘中いやもはや修行中毎日わらないとられない旅人体質

 

最終更新日:2025/04/01 11:21:38