日本くらし薬膳協会のSNSもよろしくお願いいたします
血液中の赤血球やヘモグロビンが減少した状態をいいます。 赤血球の成分はおもに水とヘモグロビンで、ヘモグロビンはヘム(…鉄を含む色素)とグロビン(…たんぱく質)で構成され、赤い色素はヘモグロビンによるものです。 ヘモグロビンが肺で酸素を取りこみ、この酸素を全身に運ぶ働きと、たまった二酸化炭素を肺に運ぶ働きをしています。 そのため、ヘモグロビンが減少してしまうと、十分な酸素を全身に行きわたらすことができなくなってしまい、貧血の症状につながります。
貧血にも種類があり、鉄の不足から引き起こすものはもちろん、その他にも原因となるものがありますので簡単にまとめます。
・鉄欠乏性貧血 …ヘモグロビンの材料である鉄が不足して起こります。 ・再生不良性貧血 …血液自体が骨髄でつくられず起こります。 ・悪性貧血 …正常に成熟できなかった赤芽球が、赤血球になれず起こります。ビタミンB12や葉酸の不足が原因となり、赤血球の他、白血球や血小板も減少します。 ・溶血性貧血 …赤血球が破壊されて起こります。赤血球の寿命は通常120日ですが、未熟な状態で破壊されてしまうため寿命よりも短くなります。 など これらは診断が出るので、医師の指示に従えば良いのですが、貧血の数値などが基準値内で病院で指摘されない場合や、定期的な健診を受けていない場合など、大丈夫だと思っていても知らずに貧血症状を起こし、だるさ、疲れ、眠さ、息切れなど、なんとなくの不調につながっていることも考えられます。
聞いたことがある方もいらっしゃるのではないでしょうか。 ヘモグロビンなど貧血をみる数値が正常でありながら、貧血予備軍のような状態をいい、潜在性鉄欠乏症とも呼ばれます。 先ほど、ヘモグロビンは鉄とたんぱく質で構成されていると記述いたしましたが、その鉄は血清鉄(血液中の鉄)や貯蔵鉄(肝臓や脾臓、筋肉に蓄えられているフェリチン鉄)から補われています。 そのため、鉄が不足すると、貯蔵鉄、血清鉄、ヘモグロビンの順に減少していきます。 フェリチン鉄が低い場合、いずれ貧血になるリスクが高く、これを「かくれ貧血」といいます。血液検査では「フェリチン」の値をみることで、かくれ貧血かどうかわかりますが、通常、健康診断などの血液検査ではフェリチン項目はなく、ヘモグロビンが低値と診断されてから調べられることが多いため、なかなか気づかないうちにかくれ貧血となっているケースもあります。 もし人間ドックなどの結果がお手元にあり、フェリチン値が記載されている場合はチェックしてみると良いですね。
など とくに女性のフェリチンに関しては30を下回ると貧血症状がみられることもあるといわれていたり、欧米では40以下の妊娠は推奨されていなっかたりしますので、基準値以内だからといって、安心はしきれないといえます。
《注意》このほかにもMCV、MCH、MCHC、TIBC、UIBCなどもありますので、医師の診断に従いましょう。また、基準値は医療施設によって異なる場合があります。
これらは私の体験も含めた症状なのですが、貧血からくる疲れは、通常の活動量が多かっただけの疲れとは違い、他の人はこれくらいこなせるのに、なんでこんなにすぐ疲れてしまうんだろう、常に眠い、昼寝せずにはいられない、など、生活が辛いレベルに陥ります。 そのため運動する元気もなく、余計に疲れやすい身体になるという悪循環にもむすびついてしまうのです。 血液検査の数値が正常値であり貧血の診断はなくても、生理時はさらに低下すると考えると、貧血症状はもちろん出やすくなります。 なかなか自覚症状だけで貧血ぎみかどうかを判断することは難しいですが、日本人女性の鉄不足は深刻といわれております。 数値は判断材料としてもちろん大切ですが、同じ人間でも体質、体感などは個人差があるものです。 病気などもなく元気なはずなのに、上記の症状が気になる方や、下記の習慣がある方は鉄を意識してみてはいかがでしょうか。 鉄をしっかり摂ることで、いつの間にか改善されていることがあるかもしれませんよ。 ※鉄不足以外でも、低血圧や酸欠、その他病気が原因のこともあるため、不調は放置せずにまずは検査を受けたり、医師に相談されることをおすすめします。
一日の推奨量 成人男性:7.5mg 成人女性:10.5mg
動物性食品に含まれる鉄はヘム鉄、植物性食品に含まれる鉄は非ヘム鉄となり、ヘム鉄に比べ、非ヘム鉄は吸収されにくい特徴があります。ですがビタミンCと一緒に摂ることで吸収されやすくなるといわれております。また、クエン酸もミネラルの吸収UPに役立ちますので、様々な食材を組み合わせて摂ることが大切です。
【鉄が多く含まれる食材】 レバー、赤身の牛肉、いわし丸干し、うなぎ、牡蠣、まぐろ、かつお、はまぐり、あさり、しじみ がんもどき、納豆、小松菜、枝豆、高野豆腐 など
【ビタミンCが多く含まれる食材】 ブロッコリー、じゃがいも、パプリカ、サツマイモ、豆苗、キウイ、みかん、いちご など
【クエン酸が多く含まれる食材】 酢、梅干し、果実(レモンなどの柑橘類、キウイ、パイナップル、いちご など)
【薬膳で血を補う食材(補血)】 黒っぽい食材(黒豆、黒ごま、黒きくらげ、プルーンなど) うなぎ、牡蠣、タコ、オイスターソース など
なかなかレバーやうなぎ、牡蠣を高頻度で食べることは難しいかもしれませんが、 ・レバー(レバニラ炒め、焼き鳥、甘辛煮など)・あさりやしじみの味噌汁 ・高野豆腐の煮物+酢の物 ・オイスターソースを使った炒め物やスープ ・箸休めにもなる黒豆を常備 ・あえ物や汁物に黒ゴマを+ ・納豆のタレの代わりに梅干しを使う など、普段の家庭料理でもちょっとずつの積み重ねで、鉄分UPをしていくことができます。 また、なかなか食事で補いきれない場合は、鉄が+されている食品(商品)や、サプリメント等を利用する方法の他、南部鉄の鉄たまごという鉄の塊をお湯を沸かすときや調理時に使うと鉄が溶けだしヘム鉄を摂取することができますので、ぜひ検討されてみると良いですね。
いかがでしたか。 気になる症状があった方はとくに注意し、定期的な血液検査をして検査のデータをしっかりチェックしましょう。貧血の診断は医師が行うものですが、あくまでも目安としてご自身でも把握しておくことは大切です。 日頃症状がなくても、女性は生理や妊娠、出産で多くの血液を必要としますので、男性以上に鉄を意識して摂らなければなりません。生理前後で不調になりやすい方はとくに鉄を意識してみてくださいね。
吉田 桃子/Momoko Yoshida 管理栄養士 くらし薬膳 栄養アドバイザー
最終更新日:2025/04/17 15:56:25
©2024 kurashi-yakuzen.net