JKA日本くらし薬膳協会
秋の食材で疲労回復~秋食材を楽しみながら体を整えていきましょう~ 【吉田管理栄養士】

秋の食材で疲労回復~秋食材を楽しみながら体を整えていきましょう~ 【吉田管理栄養士】

令和6年9月に発生しました石川県・能登半島の大雨により犠牲となられた方々に心よりお悔み申し上げると共に、被災された皆様ならびにそのご家族、関係者の皆様に対してお見舞い申し上げます。 一日も早い復興をお祈り申し上げます。 今年の夏も猛暑であり、ゲリラ豪雨なども目立ちましたね。残暑も厳しく、疲労を感じている方も多くいらっしゃるのではないでしょうか。 さて、秋といえば、食欲の秋、スポーツの秋、読書の秋などといわれ、楽しみが増える季節でもあります。 夏の疲れを引きずってまだそれどころではないという方も、しっかり体を整えて、心地よい季節を楽しみ、また、冷える季節に向けて備えていきましょう。

食欲の秋といわれる理由

食欲が増加してしまう原因はさまざまですが、とくに秋は以下のようなことが挙げられます。
 
●セロトニン分泌減少
セロトニンは神経伝達物質のひとつであり、他の神経伝達物質をコントロールし、精神安定を保つ作用があり、食欲の調整にも関わる物質です。
セロトニンは日光に当たることで分泌が促され、しっかり分泌されることにより、夜にはメラトニン量が増え睡眠にも関ります。夏は日照時間が長いため、セロトニンがしっかり分泌されやすいのですが、秋になり日照時間が短くなってくることにより、分泌量が減ってしまうことが、原因のひとつといえます。
夏場以上に日中とくに朝は太陽の光を浴びることを意識して過ごすことが大切です。
 
●基礎代謝のUP
寒くなる冬は脂肪燃焼がされやすいと聞いたことがある方もいるのではないでしょうか。
残暑が厳しい秋は寒さとは程遠い時期ですが、夏よりは段々と気温が下がり始めます。
気温低下していくことにより、体は基礎代謝が上がりやすくなりますので、必要なエネルギー量が増え、それに応じて食欲も上がっていくことが考えられます。食欲をコントロールするにはこういったメカニズムを理解することも大切です。
 
●夏バテからの回復
夏は暑さや、室内との温度差などから自律神経が乱れやすくなります。自律神経が乱れることで胃腸の働きが低下し、食欲減退、消化不良なども起こりやすくなります。また汗による脱水やミネラル不足などからも食欲が落ちてしまう方もいらっしゃいます。
秋になり心地よい気温になってくることで、こういった症状から解放され、胃腸が元気になりやすくなるといえます。あまりおいしく感じられなかった食事も、よりおいしく感じるようになることも、食欲が増してしまう理由のひとつです。
 
こういった原因や、秋においしい食材が出回ることからも、食欲が増してしまいやすいといえます。
ですが秋ならではの食材でしっかり栄養素補給して、夏に消耗した体力を取り戻したり、冬に向けて整えていったりと、上手に楽しむことも大切です。

食べた分はしっかり運動をして燃焼していくと良いですね。心地よい気温である季節は短いですが、是非この時期にしっかり運動習慣を身につけておき、冬も動きやすく冷えにくい体づくりをしていけると良いですね。

 

秋のおすすめ食材例

根菜類

人参 含まれるオススメ栄養素・成分

βカロテン
体内でビタミンAがに変換され、皮膚や目の健康、免疫UPなどに役立ちます。動物性食品に含まれるビタミンA(レチノール)と違い、必要な分がビタミンAに変わるため、過剰症なども心配いりません。

油と相性が良く、炒めたりして油と一緒に摂ることで吸収がよくなります。皮には特に栄養素や甘みも豊富ですので、気にならない場合はよく洗って皮ごと使用すると◎

ごぼう 含まれるオススメ栄養素・成分

食物繊維
野菜の中でも不溶性食物繊維が抜群に多く含まれ、整腸作用が期待できます。大腸がん予防も期待されています。
ポリフェノール
クロロゲン酸などのポリフェノールが多く含まれ、いわゆるアクの成分ですが、抗酸化作用があり老化防止に役立ちます。また、血糖値抑制、脂肪燃焼効果などがあるという研究もされています。

根菜類に多く含まれる不溶性食物繊維は便秘がひどい方が食べすぎると、かえって悪化する場合もあるため、様子を見て、水溶性食物繊維が多く含まれる麦や海藻、ねばねば食材をバランスよく食べると◎

れんこん 含まれるオススメ栄養素・成分

カリウム
塩分の排出を促し、むくみ防止、高血圧予防などに役立ちます。ただし腎機能が低下している方は制限が必要な場合があるため注意です。
ポリフェノール
れんこんにはタンニンというポリフェノールが多く含まれます。これもいわゆるアクの成分ですが、抗酸化作用があり、老化防止や動脈硬化予防などに役立ちます。また、抗菌作用や消炎作用などもあるといわれています。

れんこんやごぼうはアクによ変色しやすいため水にさらすことが多いかもしれませんが、そのまま使用することで、ポリフェノールやビタミンCなどの流出を軽減できます。

きのこ類

舞茸 含まれるオススメ栄養素・成分

食物繊維
舞茸にはβグルカンという食物繊維が多く含まれます。免疫力UPや抗がん作用などが期待されています。
タンパク質分解酵素
マイタケプロテアーゼというタンパク質分解酵素が含まれます。タンパク質を固めたい料理、例えば茶碗蒸しなどには不向きで、逆にお肉などタンパク質を柔らかくしたい料理に向きます。加熱により失活するため、茶碗蒸しには加熱した舞茸を、お肉には生の状態で一緒に調味料と漬け込んで使用すると◎

椎茸には旨味成分や水溶性ビタミン(ビタミンB1やB2)も含まれますので、汁物や鍋、煮物などにして煮汁ごといただいたり、油との相性も良いので炒めたり、さまざまな調理法で楽しむと◎

椎茸 含まれるオススメ栄養素・成分

ビタミンD
特に干し椎茸に多く含まれます。カルシウムの吸収を高める働きがあり、骨の健康、骨粗鬆症予防に役立ちます。
レンチナン
βグルカンの一種で、椎茸の香り成分です。免疫力を高める効果や血栓予防などが期待でき、抗がん作用があるといわれています。この成分を用いた制がん剤なども知られています。

魚介類

秋刀魚(サンマ) 含まれるオススメ栄養素・成分

DHA,EPA
青魚の一種であるため豊富に含まれます。血流改善、抗血栓、抗炎症、抗アレルギー作用により花粉症やアトピーの緩和、コレステロールや中性脂肪の抑制、脳機能向上などさまざまな作用が期待できます。
ビタミンD
カルシウムの九州を助ける働きがあり、骨や歯の発育促進にも役立ちます。骨の健康維持に欠かせない栄養素です。

さんまの旬は9月~10月と短めです。2024年は2023年に比べ豊漁とのことですので、ぜひ堪能しましょう。焼きのイメージが強い方も多いかと思いますが、刺身やさんが焼きなどもおすすめです。

牡蠣 含まれるオススメ栄養素・成分

ミネラル
牡蠣にはトップ蔵図で亜鉛や鉄が豊富に含まれ、髪や皮膚の健康、免疫力UP、貧血予防に役立ちます。
タウリン
肝機能、脂肪肝対策、コレステロール減少などの効果も期待できます。

9月までは岩牡蠣、10月からは真牡蠣が旬となり幅広い期間楽しめます。生牡蠣は抵抗がある方もたくさんいらっしゃると思いますが、ソテー、フライ、しぐれ煮など美味しい食べ方がたくさんあります。籬は11月頃から冬に美味しくなるといわれていますので、鍋物やスープなどにするのもおすすめです。

果物類

ぶどう(巨峰、ピオーネ、デラウェア、マスカットなど) 含まれるオススメ栄養素・成分

ポリフェノール
ぶどうは多くの品種がありますが、アントシアニンの含有量により色が異なります。赤や黒っぽい品種にはアンドシアニンが豊富に含まれ、老化予防や眼精疲労などに良いといわれています。シャインマスカットなど黄緑の品種にもレスベラトールなどが豊富に含まれ、高い抗酸化力が期待できます。また、皮とと食べることでしっかりポリフェノールを摂ることができるのも特徴です。
詳細は過去のコラムをご参照ください。

秋の味覚さつまいも~さつまいもで健康、美容UP!ダイエット効果も~


秋の食材で疲労回復~秋食材を楽しみながら体を整えていきましょう~ 【吉田管理栄養士】

いかがでしたか。
夏の疲労改善や食欲増加の対策としても、秋の食材、運動、睡眠を上手に取り入れていきましょう。

 

 

吉田 桃子/Momoko Yoshida
管理栄養士
くらし薬膳 栄養アドバイザー

最終更新日:2025/04/01 11:50:32