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骨の健康~気づいたときが一番若い、今からしっかり骨の健康維持を意識していきましょう。~【吉田管理栄養士】

骨の健康~気づいたときが一番若い、今からしっかり骨の健康維持を意識していきましょう。~【吉田管理栄養士】

日頃から骨の健康を気にされていますか? カルシウムは摂らなきゃと思って、牛乳やヨーグルトなどの乳製品や小魚を意識されていらっしゃる方も多いのではないでしょうか。 健康な骨づくりのためには、もちろんカルシウムが大切ですが、骨の健康に関わる栄養素は他にもあり、重要な役割を果たしています。 今回は骨の健康のために大切な栄養素や働きについて解説します。

人の骨について

 

人の骨(成人)は約206個あるといわれており、乳幼児では約350個ありますが、これは骨がくっついてひとつの大きな骨をつくり、成長とともに減るためです。
骨の成長については男女差、個人差がありますが、15年~18年くらいで終わり、骨量(骨密度)としては20歳前後がピーク、以降は維持、減少していきます。
骨はカルシウムとコラーゲン(たんぱく質)でできていますが、常に作り変えられていて、破骨細胞(古い骨を壊す、骨吸収)と骨芽細胞(新しい骨をつくる)によって、約3年前後のサイクルで繰り返されるといわれています。=骨のリモデリング
この破骨細胞と骨芽細胞のバランスが崩れ、破骨細胞の働きの方が強くなってしまうと、骨がもろくなります。これをご存知の通り「骨粗鬆症」といいます。
 
骨リモデリング

骨の健康~気づいたときが一番若い、今からしっかり骨の健康維持を意識していきましょう。~【吉田管理栄養士】

骨粗鬆症

骨の健康~気づいたときが一番若い、今からしっかり骨の健康維持を意識していきましょう。~【吉田管理栄養士】

 

女性が骨粗鬆症になりやすい理由

 

とくに女性は、女性ホルモン(エストロゲン)が様々な体の組織の健康を守ってくれていて、骨に関しても、破骨細胞の働きを抑制する働きをし、健康な骨の維持に貢献しています。
ですが、閉経とともに女性ホルモンはガクっと激減し、これまで守られていた健康に影響を及ぼします。これまで血液検査でなんの問題もなかったのに、急に血圧やコレステロール、血糖値などが上がってしまったという方もいらっしゃるのではないでしょうか。また閉経だけでなく、女性は元々骨格が小さいこと、筋力が弱いこと、出産や授乳でカルシウムをたくさん必要とすることなども関係しています。
その他、女性だけでなく、思春期に過度なダイエットをしてしまう、喫煙、過度な飲酒、偏った食生活、運動不足なども骨を弱くしてしまう原因となります。

 

骨粗鬆症リスクを放置しないこと

 

定期的な健康診断(血液検査など)で、数値が目にみえてわかる項目についてはまだ良いのですが、骨密度に関しては、減少していてもわからないまま過ごしてしまい、高齢になったときに気付くこともよくあります。骨粗鬆症は骨折のリスクはもちろんですが、身長の縮み、背中や腰が丸くなる、など見た目の変化、背中や腰の痛みなど、辛い日常生活にもつながります。また高齢で骨折してしまうと、回復にも時間がかかり、筋力が低下し、ロコモティブシンドローム(運動器症候群)運動機能の低下により寝たきりや要介護などのリスクが高い状態となり、健康寿命を縮めてしまう原因となります。
骨密度の検査(DXA法)(MD法)(定量的超音波測定法)や、血液や尿検査(骨代謝マーカー)などを行う医療施設を見つけて、40歳~50歳くらいからは特に定期的に受けることをおすすめします。

 

骨の役割は体を支えるだけじゃない

・臓器を守っている
・体を動かす支点となっている
・血液をつくっている
・ミネラル(カルシウム)を貯蔵している
など、多くの働きがあり、健康な骨を維持することは全身の健康維持につながります。

 

丈夫な骨をつくるための主な栄養素

●カルシウム

骨や歯の材料となり、骨に貯蔵されています。カルシウムの働きは骨をつくっているだけでなく、血液や筋肉などにも存在し、神経伝達、血液凝固など機能としての働きもあるため、カルシウムの摂取が不足すると、骨(貯蔵)から溶け出し、血液中のカルシウムを一定に保つシステムとなっています。

●マグネシウム

カルシウムやリンと骨をつくり、リン酸マグネシウムや炭酸水素マグネシウムとして骨や歯に含まれます。それ以外にも筋肉や脳、神経などに含まれ酵素を助ける働き、血圧、筋肉収縮などに関わります。

●リン

リン酸カルシウム、リン酸マグネシウムとして骨や歯をつくり、他にも細胞膜や筋肉などに存在します。ただ、沢山摂りすぎるとカルシウムの吸収を阻害してしまうため注意が必要です。

●ビタミンD

腸管でのカルシウムとリンの吸収を助け、骨の形成や石灰化を促進する働きがあります。食事からだけでなく、日光に当たることでも体内で作ることができます。

●ビタミンK2

カルシウムが骨になるのを促進する、オステオカルシンというたんぱく質をつくるために必要な栄養素です。血液凝固の作用もあります。

 

健康な骨のために気をつけること

◆カルシウムが多く含まれる食品を毎日、毎食摂り入れる
※一般的な成人女性のCa摂取推奨量は650mg
・干しエビ大さじ1で約426mg
・かたくちいわし1尾で約275mg
・高野豆腐…150gで約150mg
・木綿豆腐…150gで約140mg
・絹ごし豆腐…150gで約75mg
・切り干し大根…10gで約50mg
・ナチュラルチーズ(カマンベール)1切れで約82mg
 
 ◆マグネシウムの摂取を意識する
・ごま
・アーモンド
・大豆
・玄米 など
 
また塩についてですが、精製された塩よりも、ミネラル塩を使うようにしたり、バスソルトで入浴したりするのも
 
◆ビタミンDの摂取、生成を意識する
冬は日照時間も短くなり、日に当たる機会が少なくなりがちなため、より日中の運動と、食事からの摂取を積極的に心がけましょう。
脂溶性ビタミンのため、動物性食品
植物性食品は油と一緒に摂ると吸収が高まります。
・鮭
・サンマ
・アジの開き
・しらす干し
・たまご
・乾燥きくらげ
・干ししいたけ
 
◆ビタミンKが含まれる食品を意識する
こちらも脂溶性ビタミンです。とくに緑の食品はビタミンA(脂溶性)などの栄養素も含まれるため、油との相性が
  ・納豆
〈濃い緑色の食品〉
・ほうれん草
・小松菜
・モロヘイヤ
・かぶ・大根の葉
・ブロッコリー
・ニラ
・海苔 など
  
◆たんぱく質をしっかり摂る
魚や鶏肉がおすすめです。とくに鶏の軟骨や鶏皮、レバー、ゼラチンはコラーゲンが多く含まれます。ただ皮やレバーなどは苦手な方もいらっしゃったり、他の面からも摂り過ぎは推奨しません。
鶏手羽を柔らかく煮て軟骨ごと食べる、魚を皮ごと食べるなどもおすすめです。
 
◆リンが含まれる加工品に注意
肉や魚などの食材自体にも含まれますが、添加物リン酸塩として含まれる食品の過剰摂取には、とくに注意しましょう。たまに使用する、メニューの一部に使用するなど、神経質になりすぎる必要はないといえますが、インスタント食品、食品添加物が含まれる加工食品に偏った食事は、リンが過剰になる場合があります。
 
◆かかとに負荷をかける運動を意識する
かかとに刺激を与えることで骨芽細胞を活性化するオステオカルシンが放出されるといわれています。
日光に当たりウォーキングはもちろんですが、手軽におうちで、背のびをした状態からかかとをストンと落とす運動を繰り返すだけでも
食後に行うことで、血糖値ダウンにもつながるといわれているのでおすすめです。

 

~おすすめメニューポイント~

◆卵焼きにしらすや干しエビを+
しらすやえびは出汁代わりにもなり、旨味も栄養素もUPします。
 
◆鶏手羽は軟骨も食べられるくらい煮る
時間をかけて煮る、圧力鍋を使う、酢や塩こうじを使うなどして調理すると◎
大根やたまごと合わせてさらに栄養素UP
 
◆かぶや大根の葉は先に使う
葉は傷みやすいいため、先にカットし、・炒め物 ・ミルクスープに根と一緒に ・刻んで混ぜご飯 などに使うと◎
 
◆納豆チーズオムレツ
普段おうちに常備しやすい食材を組み合わせて、ビタミンK、ビタミンD、カルシウムがまとまったレシピになります。

骨の健康~気づいたときが一番若い、今からしっかり骨の健康維持を意識していきましょう。~【吉田管理栄養士】

いかがでしたか。
カルシウム、骨の健康といえば、牛乳や小魚をイメージする方も多いと思いますが、実は色々な栄養素が関わり、含まれる食材も沢山あります。

毎日コツコツ摂りたい栄養素だからこそ、常備しやすい食材や季節の野菜を上手に利用できると良いですよね。

 

 

吉田 桃子 / Momoko Yoshida
管理栄養士
くらし薬膳 栄養アドバイザー

最終更新日:2024/11/13 17:26:31