JKA日本くらし薬膳協会
薬膳は特別な材料がないとできないと思っていませんか?

薬膳は特別な材料がないとできないと思っていませんか?

近年、健康志向の方や体質改善のために、薬膳を実生活に取り入れる方が増えて来ました。しかし、その一方でよく聞かれる声が、「薬膳ってなんだか難しくて取っつきにくい」、食の専門職の私たち管理栄養士ですらも、「薬膳は興味あるけど、難しそうで中々勉強するにはかなり抵抗がある」「薬膳って美味しくない、まずい」なんて声も悲しいことに聞かれます。しかし、それはイメージなだけであり、実際のところは、日常生活において代用できる食材がたくさんあることをご存知でしょうか?今回は、そんな薬膳初心者からでも普段の生活に実際に取り入れられるような、薬膳についてお話ししていきたいと思います。

そもそも薬膳料理って?

皆さん、薬膳って聞いてどんなイメージを持ちますか?薬膳料理とは、季節や体調、それぞれの体質にあった食材を組み合わせ作る料理のことをさします。薬膳は、食事による養生方法のひとつ。よく言われる漢方の考え方を取り入れながら、体質や体調に合わせた食事を組み合わせた料理(=薬膳料理)を食べることで、自然治癒力を高める効果があると言われています。 

スーパーなどで比較的手に入れやすい食材にも薬のような効果があるとされている「医食同源」の考え方が薬膳の基本。薬に比べて作用が緩やかなので、体に優しく、美味しく体質改善ができます。 

生活に薬膳を取り入れるメリットとは?

同じような不調を感じていたとしても、体質や症状をよく分析していくと、薬膳によって改善する方法が違う場合があります。

例えば、現代の日本女性に多い「冷え」。血行不良による冷え症の場合もあれば、体温そのものが上がりにくい体質の人もいて、改善するにはそれぞれ方法が異なります。これらを改善するためには、食材そのものがもつ効能を組み合わせて、薬膳を取り入れていく必要があります。オーダーメイドでその人にあった食事が考えられるという点は大きなメリットの一つになりますね。

どうやって組み合わせるの? 

薬膳の考え方には、「中医食材辞典」という、それぞれ食材ごとの性質や味、効能が書かれています。基本的には、寒・涼・平・温・熱の5つの性質に分類されており、寒・涼は熱を取ったり、解毒作用があります。逆に、温・熱は身体を温めて気血の流れをよくしてくれる働きも!こういった食材の特徴を組み合わせて、薬膳料理を作っていきます。

どんな食材がどんな症状に良いの?

例えば、少し例をあげて話をすると、生活習慣病は、食生活が原因のことももちろんありますが、それだけではなく、ストレスも関係していると言われています。環境が変えられないとしたら、「ストレスに強くなる」か、「ストレスを上手に逃せるようになる」ことが大切になって来ます。薬膳の考え方では、ストレスは、体内の気の巡りが乱れている状態なので、気の滞りを除く働きのものを取る必要があります。

「ジャスミン」なんかは、気持ちを落ち着かせてくれるので、オススメです。

そのほかにも、キノコは消化不良やデトックス、胃痛に効果があります。また、女性にオススメな食材としては、アンチエイジングや老眼、眼精疲労を覗いてくれる枸杞(クコ)や、胃腸を元気にしてくれる山芋、寒がりや冷え性の方にラム肉、冷えからくる生理痛に黒砂糖、乾燥からくるシワやお肌の保水力を高めるには白木耳(白きくらげ)がオススメです。 

オススメ!キノコの組み合わせ

それぞれ、どんなものがどんな症状に効果があるのかがわかったところで、よりさらに効果アップする取り方を紹介します。

キノコ類のマッシュルームとブロッコリーを合わせることで、この二つの食材には腎を補う作用があるために、虚弱体質の改善にも効果があります。特に小さなお子様や高齢者のかたに適しています。炒め物にしたり、スープに入れたりなど暖かい料理に使うことで冷えの改善にも繋がります。美容効果を高めるには、しめじと鮭を合わせて。これらの食材は血を補う作用があるので、めまいやドライアイ、肌の乾燥など感じる人にオススメです。しめじの香りが楽しめるホイル焼きなどが良いですね。ちなみに、しいたけは水で洗わずゴミはペーパータオルで取り除き、包装のまま保存するか、密閉の保存袋に入れて冷蔵庫で保管し、湿気がたまらないようにするのに注意するとさらに美味しく食べられます。

薬膳は特別な材料がないとできないと思っていませんか?

枸杞に隠された秘密

枸杞は疲れ目にも効果的なので、デスクワークなどが多いかたは、お茶に枸杞を入れて飲むのもオススメです。よく有名どころでいうと、薬膳スープに入れられていたり、杏仁豆腐などのスイーツに飾りの色味として添えられていることもありますね。

ただ単に色合いだけで添えられているのではないことが、これでわかりますね!!最近では、枸杞ではなく、健康食品のスーパーフードとして有名になったこともあり、「ゴジベリー」として呼ばれることも多くなりました。スーパーフードとして扱われているため、多く取りがちですが、あまり多く取らず1日に数粒に止めておきましょう。

枸杞は、水戻しをするだけで使えるため、とてもお手軽に普段の生活に薬膳を取り入れることができる代表的な食材になっています。ぜひお近くのスーパーや食材店で探して見てください。 

外でも薬膳料理を取り入れる

外でも薬膳料理が取り入れられる?と思った方も多いかもしれません。

薬膳料理と押し出している店舗も増えてきてはいますが、本格的な薬膳料理すぎて、なかなか食べる勇気がない・・・そんな声も多々聞かれます。

しかし、中には、「からだの源をつくる「食」を通して健康づくりをサポートしていきたいという理念から、家庭に近い形の薬膳料理を提供しているお店もあります。「本当の健康とは、薬に頼らず元気に暮らすこと」この言葉が、身に染みますよね。 

そんなお店は、こだわりの野菜を使っていたり、ビュッフェスタイルが多いもの。

野菜ビュッフェには、スープや惣菜、豆類などたくさんの種類のものが用意されていることがあります。 

厳選した野菜ビュッフェは、すべて無農薬だったりすることも。常時複数種類ならぶ色とりどりの野菜は、どれも今が旬のものです。掲示されるPOPには、野菜の健康や美容の効能が書かれているのもあり、嬉しいです。食べながら、効果などを学ぶことができ、自分の体調に合わせてメニューを選べることも良いポイントですよね!盛りつけながら、旬の野菜や栄養について自然と覚えられそうですね。

薬膳は特別な材料がないとできないと思っていませんか?

まとめ

いかがでしたか?

薬膳というと大層なイメージばかり作られてしまい、難しく考えがちですが、普段の日常生活に取り入れることができるようになっています。ぜひ、何か一つでも取り入れ、普段の健康の一歩として、取り入れて欲しいです。 より詳しく学びたい方は、くらし薬膳も覗いて見てくださいね!

 

渡辺愛理 / Airi Watanabe
管理栄養士。
温活料理研究家。
大学卒業後、病院・介護老人保健施設での勤務を経て、フリーランス管理栄養士となる。
自身が冷え性に長年悩んできた経験から、冷え性に悩む方への食事カウンセリングや料理教室講師をメインに、そのほかレシピ制作やコラム執筆などを行なっている。

最終更新日:2025/04/01 11:16:34