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腸内環境にまつわるあれこれ~その③食べ物〜[吉田管理栄養士]

腸内環境にまつわるあれこれ~その③食べ物〜[吉田管理栄養士]

今回は腸内環境にまつわるあれこれシリーズ③となりますが、前回お伝えしました腸内細菌の善玉菌を増やすためにはどのような食品を摂ったら良いかをお伝えしていきます。

前回のコラムはこちら
「腸内環境にまつわるあれこれ〜その②~」

 

善玉菌を増やすために役立つものは?

ヨーグルトや納豆など発酵食品が良いということは多くの方がご存知かと思いますが、善玉菌を増やすために必要なことを細かく見ていきましょう。

プロバイオティクス
;人の身体にとって良い影響をあたえる微生物(菌)のことで、ビフィズス菌や乳酸菌を含んだ食品のことをいいます。

プレバイオティクス;プロバイオティクスの餌となり働きを助けるもので、食物繊維やオリゴ糖が代表的です。

食品では大きくこの二つが善玉菌を増やすために必要です。

 

【プロバイオティクス】

発酵食品、整腸剤など

・整腸剤:ビフィズス菌や酪酸菌、ラクトミンなどが配合されたものが市販、または処方薬としての扱いがあります。
・乳酸菌飲料:ヤクルトやカルピス製品などが有名ですが様々なメーカーが販売しております。
・発酵食品:発酵食品とは、微生物が関わり、食品のたんぱく質や糖質が分解され変化したもので、食べられるもののことをいいます。食べられないものは「腐敗」であり、発酵と腐敗の違いは人にとって良いものであるか、害であるかによります。どちらも微生物が関わり作用して変化するのですが、この違いも面白いですよね。

発酵に関わる主な微生物

〇カビ:麹カビ、青カビ など
〇酵母:酵母菌
〇細菌:乳酸菌、酢酸菌、納豆菌など
これらの微生物によって作り出される酵素により、食品の味、色、香り、成分などを変えていきます。
発酵食品はこれら微生物により消化がされやすい状態になるともいえます、また保存性を高めたり、食品のうまみを高めたりすることも特徴ですね。

代表的な発酵食品

調味料:醤油/味噌/塩麴/酢/ナンプラー
アルコール類:酒/甘酒/ワイン/ビール
漬物:ぬか漬け/キムチ/ピクルス/ザワークラウト/アンチョビ
大豆製品:納豆/テンペ
乳製品:ヨーグルト/チーズ/発酵バター
その他:鰹節/メンマ/塩辛/紅茶/ウーロン茶        など
毎日自然と摂れているものや、意外と知られていないものもあるのではないでしょうか。

発酵食品の摂り方のコツ

☆基本的に熱に弱いためそのまま食べるか、味噌などは火を止めて沸騰させずに溶かすのがおすすめです。
☆調味料や漬物など塩分が多いものがあることも特徴です。発酵食品で身体に良いからといって偏って組み合わせたり、たくさん摂りすぎないように注意しましょう。
☆毎日こつこつ摂ることが大切です、ヨーグルトは今様々な特徴をもつ菌が入ったものが売られていますので、まずは2週間くらい続けてみて、また種類を変えたりして、ご自分に合ったものを見つけるのもオススメです。

 

【プレバイオティクス】

「大腸に常在する有用菌を増殖させるか、あるいは有害な細菌の増殖を抑制することで宿主に有益な効果をもたらす難消化性食品成分」と定義されております。
オリゴ糖が含まれる食品:大豆・たまねぎ・ごぼう・ねぎ・にんにく・アスパラガス・バナナ・はちみつ・牛乳など
食品に含まれるオリゴ糖は少量なので特定保健用食品としてシロップなどで市販されているものを利用しても良いですね。
物繊維が多く含まれる食品:穀物・芋類・豆類・海藻、きのこ類、根菜類・こんにゃくなど


おすすめの組み合わせ

発酵食品をダブルで組み合わせたり、オリゴ糖や食物繊維が多く含まれるものを一緒に組み合わせることで相乗効果が期待できます。発酵食品同士は塩分さえ気を付ければ、基本的に組み合わせてはいけないものはありませんので、毎日、毎食、積極的に摂っていきましょう。
◆納豆+キムチ;納豆にはタレや醤油を使わずキムチを混ぜると◎
◆野菜スティック;忙しくても簡単に嬉しい組み合わせ。人参やキャベツなどの野菜に味噌をつけて食べるだけでも発酵食品、オリゴ糖、食物繊維が摂れて◎
◆塩麴でザワークラウト;本来は塩と香辛料でキャベツを漬けますが、塩麴やお好みの香辛料を加えて旨味、乳酸菌をUP!ザワークラウトでなくても塩麴は塩昆布と組み合わせて漬物にしたり、スープ、お肉の下味など使い道がたくさんあります。
◆ヨーグルト+ハチミツ、バナナ、キウイなど;ヨーグルトは加糖のものより、無糖のものを選んで、ハチミツやフルーツの甘味で食べることでオリゴ糖や食物繊維が一緒に摂れて◎

腸内環境にまつわるあれこれ~その③食べ物〜[吉田管理栄養士]

発酵食品がもつそれぞれの特徴が異なりますので、その日のメニューや体調、気分に合わせて組み合わせて摂ってみたり、プレバイオティクスの食品と組み合わせて、善玉菌の喜ぶ環境を整えていきましょう。どうしてもお腹の調子が良くなかったり体調が気になる時は、いきなり、無理に作用させる便秘薬やお腹のハリを抑える薬などを使う前に、乳酸菌飲料や整腸剤の力を借りてみたり、日頃の食生活を見直してみると良いですね。
また次回以降「便秘について」や「食中毒について」もお伝えしていきたいと思います。

吉田 桃子/Momoko Yoshida
管理栄養士
くらし薬膳 栄養アドバイザー

最終更新日:2024/10/24 12:57:05