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中国や韓国含め東アジア代表の果物ですが、世界でも柿は「kaki」として名前が使われております。 日本は各地で収穫されどこでも手に入りやすいですね。 また、柿は果実を食すだけでなく葉はお茶、幹は家具、柿渋は防腐剤として使われたり、様々な形で役立ってくれますが、今回は果実について触れていきます。 【柿の旬】
柿の収穫時期は種類によって異なりますが、主に10月~11月。 【柿の種類】
甘柿と渋柿があり、それぞれ沢山の品種がありますが、一部をご紹介します。
●甘柿 ・富有(ふゆう) 丸みがありふっくらした形。厚みのある果肉で甘味が強いのが特徴。日本で最も多く生産されています。
・次郎(じろう) 平べったく四角っぽい形。かための果肉で果実に種がほとんど入っていないため食べやすいのが特徴。 ●渋柿 ・平核無(ひらたねなし) 地域によって庄内やおけさなど名前が違うようです。種なしの品種で、渋抜きをされて出荷され程よい柔らかさと甘いのが特徴です。
・甲州百目(こうしゅうひゃくめ) 別名富士や蜂屋などと呼ばれています。釣鐘状の形をしているのが特徴で、渋抜きをされて生で販売される他、あんぽ柿、干し柿にも利用されています。
<βカロテン> 体内でビタミンAに変換されます。 ビタミンAは高い抗酸化力をもつため、皮膚、血管など細胞の老化予防に役立ち、他にも目の健康維持や免疫力UPで風邪予防などの効果も期待できます。 <ビタミンC> ビタミンCについては「果物の気になる特徴」でもお伝えしておりますが、ストレス、たばこを吸う、お酒を飲む、風邪をひきやすい、運動をする、紫外線を浴びやすい方などはとくにビタミンCを補うことが大切です。 <カリウム> カリウムについても「果物の気になる特徴」で詳細をお伝えております。 むくみ予防に役立ちます。 <タンニン(ポリフェノール)> 柿渋ともいわれたりしますがタンニンは渋味成分です。 タンニンは水に溶けることで渋味を感じてしまいます。 渋味というと少し嫌な感じもしますが、果実が熟すことで水に溶けない性質になり渋味を感じなくなるのです。甘柿も熟す前は渋味があります。渋柿は渋抜きという方法で渋味をなくしますが、干し柿にしても渋味をなくせます。 このタンニンには様々な効果が期待できます。
・抗酸化作用 ・二日酔い防止 ・下痢止め ・防臭 ・抗ウイルス作用
一部の成分を挙げましたが、柿は美容、アンチエイジング、生活習慣病予防などの他に、最近ではあのウイルスの不活化にも有効であるという実験もされたようです。 柿が赤くなれば医者が青くなるとういうことわざもあるくらい、非常に優秀な果物であるといえますね。
薬膳でも柿は身体の健康に役立つ要素が沢山あります。 肺や喉を潤おして乾燥(燥邪)から守る「潤肺」の効能を持ち、「清熱」「解酒毒」といって、体の余分な熱をとったり、二日酔い予防の効能も持つとされている果物です。 乾燥からくる風邪、熱、口の渇きや二日酔い、ほてりなど熱をもっているときなどにも摂り入れると良いですね。 ただし体を冷やす「寒性」の食べ物であるので、身体が冷えやすい方は少し注意が必要です。食べてはいけないということではないですが、温かい飲み物と一緒に摂ったり、シナモンやショウガとちょっと加熱したりするのもおすすめです。 栄養素や薬膳の効能から秋の健康管理にとても役立ってくれそうな柿ですが、誰もかれもが、沢山摂れば良いというわけではありません。
・血糖値が高い方など糖質を控えた方が良い方は、お医者様の指示にしたがいましょう。 ・食べ過ぎると腸の不調(便秘や下痢)、吐き気、腎石などを引き起こしてしまう可能性があります。身体を冷やしやすい性質であることからも摂りすぎないようにしましょう。 ・タンニンは鉄の吸収抑制作用があるため、貧血の方や普段から鉄不足になりやすい方は、食事と同時に摂らないようにしましょう。沢山の量を日常的に摂らなければ問題ないとされていますが、お茶やコーヒーにもタンニンは含まれますので気になる方は食事から1時間程度あけることをおすすめ致します。 多くても一日1個くらいまで、夜は控えて午前のおやつや15時のおやつなどで楽しむことをおすすめ致します。
・ハリがあってオレンジ色が濃いものがおすすめ。 ・ヘタがきれいで果実との間が狭く離れていないものがおすすめ。 ・柔らかすぎず、硬すぎないものがおすすめ。 ばら売りしているものを触って感触を確かめたいところですが、今はとくに食材に直に触るのは避けていきたいですね。どうしても確認したいときは、なるべくポリ袋などを利用し、軽く持ってみる程度が良いでしょう。 美味しい果物の見分けはなかなか難しく感じる方もいらっしゃるかもしれませんが、人と同じで個性があるものと思って、もし味や歯ごたえが好みと違ったとしても、アレンジしていつもと違う食べ方を発見して楽しんでみてはいかがでしょうか。 例えば、熟しすぎているように感じた場合は、ヨーグルトのジャム変わりや混ぜてジュースにしたり、硬くて甘さが足りなく感じた場合は、薄めにカットしてサラダでおかずにしてみたり、先ほども述べましたがシナモンや生姜、はちみつなどと合わせたり、加熱して食べるのもおすすめです。 もちろん生で食べる方が失われにくい栄養素(ビタミンCなど)もありますが、体調や果実の状態に合わせて上手に摂り入れてみると良いですね。
吉田 桃子 / Momoko Yoshida 管理栄養士 くらし薬膳 栄養アドバイザー
最終更新日:2024/10/29 16:41:49
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