JKA日本くらし薬膳協会
夏野菜の代表モロヘイヤ~モロヘイヤを取り入れて夏バテ予防~[吉田管理栄養士]

夏野菜の代表モロヘイヤ~モロヘイヤを取り入れて夏バテ予防~[吉田管理栄養士]

オリンピックも始まり、夏真っ只中ですね。 マスク生活からはなかなか解放されず、慣れるしかない状況ですが、いくら冷感素材や工夫されたマスクであっても真夏の時期は特に息苦しさ、蒸れなど不快さが増すのではないでしょうか。 熱もこもりやすくなるため、ウイルスだけではなく熱中症や夏バテなど、体調管理には十分に気を付けていきたいですね。 さて、今回は、夏バテ予防にとてもおすすめの食材のひとつ「モロヘイヤ」についてお伝えします。TVなどメディアでも取り上げられることが多いため、ご存知の方も多いかと思いますが、栄養素としてどんな魅力があるのか、薬膳からみた働き、また注意点などもありますので、是非ご参考になさっていただければと思います。

モロヘイヤとは

モロヘイヤの原産はアフリカやインド、中東、エジプトなどといわれており、エジプト語でムルキア(王家のもの)という意味や、クレオパトラも好まれたことが有名です。
また、モロヘイヤはアラビア語で王家の野菜という意味があり、特別な野菜として扱われていたことがわかります。
日本には1980年代に入って栽培されるようになり、生産量は群馬が最も多く、続いて沖縄、神奈川、岐阜の順になっております。
旬はもちろん暑い地域で育つ植物なので、夏(とくに78月)に生産されます。

モロヘイヤに含まれる主な栄養素

●ビタミンACE(エースとよばれる3種の抗酸化ビタミン)

ほうれん草よりも多く含まれ、紫外線対策、ストレス、免疫UP、美容に役立ちます。

●ビタミンB1B2B6

これらもほうれん草よりもわずかですが多く含まれ、代謝UP、疲労回復に役立ちますので夏バテ予防におすすめの栄養素です。

●カルシウム・カリウム・鉄などのミネラル

カルシウムに関しては、ほうれん草より倍以上多く含まれます。
汗でミネラルも排出しやすくなります。ミネラルが体内から不足することでだるさや疲労感、体調不良にもつながるため、夏はとくにしっかり意識して摂ることが大切です。

●食物繊維(ペクチンやマンナンなど)

ねばねばの成分であるペクチンやマンナンなどは水溶性食物繊維で、整腸作用があり、便秘予防、免疫力UPにつながるほか、血糖値の上昇を緩やかにし、糖尿病や中性脂肪対策としても役立ちます。また胃の粘膜を保護する働きもあります。
食事では先に食べるとより効果が期待できるのでおすすめです。

 

薬膳からみた働き


モロヘイヤは夏野菜であるため、身体の熱をとってくれる作用があり、暑さをしずめ、夏の邪気(夏の不調)をやわらげてくれる(=解暑)効果や、生津といって、身体を潤してくれる作用などがあるといわれております。(夏野菜には比較的、身体を冷やす作用をもつ食材が多く、トマトやナス、きゅうりなども代表的な夏野菜で身体を冷やす作用をもちます。)
身体が冷えやすい方、冷房などで冷えてしまった方などは、身体を温める食材と一緒に摂ったり、温かいお料理にして食べることをおすすめします。

 

注意点


モロヘイヤは栄養素が豊富で期待できる効果も沢山あり、優秀な食材ですが、実は食べてはいけない部分があります。
市販で出回っているものは取り除かれていて食べごろのものなので安心ですが、家庭菜園などの場合などは注意が必要です。
毒性をもつ部分は主に種や茎部分などで『ストロファンチジン』という成分を含みます。これは収穫期ではない成熟途中や成熟したもの、若葉などを摂取した場合に中毒を起こします。
やわらかい葉、やわらかい茎であり、色も変色などしておらずきれいなものが◎。また、かたい茎がついている場合がありますので無理に食べないようにしましょう。

詳細はこちら(農林水産省HP
https://www.maff.go.jp/j/heya/sodan/2004/01.html

 

食べ方


生でも食せるといわれておりますが、消化の面でも加熱してしっかり刻むことをおすすめします。刻むことで粘りが増し、ペクチンやマンナンなどの効果もより高まるといえます。
ただし茹で時間が長すぎると折角の栄養素が流出してしまうため、さっと20秒くらいまでがおすすめです。
汁物にすれば流出した栄養素も摂れるのでお浸しだけでなく、味噌汁やスープ、麺類などと一緒に楽しむのも良いですね。また、ヨーグルトや豆乳、バナナなどとスムージーなどにしても、整腸作用が高まりますので便秘予防に役立ちます。
お浸しには鰹節が美味しくよく組み合わせられると思いますが、夏場はとくに梅やわさびなどを組み合わせるのもおすすめです。食欲が落ちやすい時期でもありますので、香りが良いものをプラスすることで食欲UPも期待できます。梅に含まれるクエン酸には疲労回復効果、わさびは殺菌効果などもありますので夏場にはぴったりです。
一度に食べきれない場合は、茹でて冷蔵や冷凍保存しておくと次回使用時も手軽に食べられますね。
モロヘイヤの他にオクラや山芋、納豆などねばねばの特徴をもつものは健康に役立つ栄養素が豊富ですので、一緒に組み合わせてみたり、日ごろの食卓で積極的に並べていけると良いですね。

夏野菜の代表モロヘイヤ~モロヘイヤを取り入れて夏バテ予防~[吉田管理栄養士]

夏野菜の力を借りて、今年の夏も上手に乗り切りましょう。

 

 

吉田 桃子 / Momoko Yoshida
管理栄養士
くらし薬膳 栄養アドバイザー

最終更新日:2025/01/27 09:16:34