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日本人の食事摂取基準の目標量としては以下の通り。
・全体のエネルギー摂取量のうち脂質は20~30% 例えば一日の摂取量が2000kcalだとすると →脂質でのエネルギー摂取は400kcal~600kcal/グラムにすると約44g~67g程度
・飽和脂肪酸はエネルギーに対して成人の場合7%以下 例えば一日の摂取量が2000kcalだとすると →飽和脂肪酸でのエネルギー摂取は140kcal/グラムにすると約15g程度
・n-6系脂肪酸とn-3系脂肪酸の食事摂取基準 年齢、性別により細かく設定されています。
[厚生労働省 日本人の食事摂取基準(2020年度版)より]
以上のように基準が設定されておりますが、なかなか細かな計算は難しいですが、まずは飽和脂肪酸、不飽和脂肪酸のバランスに気を付けて、過剰または不足にならないように気を付けていくことをおすすめします。
脂肪酸含有量 (100gあたり)単位g
これらは100gあたりに含まれる調理前の成分量です。もちろん調理油をそのまま100g摂るなんてことは考えられにくいですし、食品に含まれる成分量は調理法によっても変わってきますが、飽和脂肪酸が多く含まれる食品、不飽和脂肪酸が多く含まれる食品をなんとなくご理解いただければと思います。同じ鶏肉でも部位によってかなり飽和脂肪酸が抑えられることがわかりますね。 実際に身体の中に摂り入れた場合は調理法や個人の吸収に差が出てくるため、いくらきっちりと計ったとしても正確な摂取量は難しいものです。 私はおおざっぱな性格ということもありますが、普段の食事ではその時食べたいものも優先しつつ、なんとなくの意識向けによってバランスを整えていくことを心がけております。
例えば ・肉:魚=1:1の割合を心がける。 お昼はお肉だったから夜はお魚にしよう、昨日はお肉が多かったから今日は魚にしよう、など。 ・お昼に揚物を食べたから夜は煮物やお刺身にしよう。 ・夜は中華の予定だからお昼は揚げ物や炒め物は控えて煮物や蒸し料理にしよう。(中華料理は油を多く使用する料理が多いです) ・手抜きをしたいけど加工肉は朝食べたから夜はサバ缶を使おう。 ・魚を食べる量が少なかったからえごま油(※1)を味噌汁に入れよう。 など、ちょっとした意識でも身体にやさしい食事に近づきます。 また、青魚は苦手、魚はどうしても頻度が低くなってしまうという方は、えごま油やあまに油を積極的に利用することをおすすめ致します。 (※1)あまに油やえごま油は加熱NGなので、ドレッシングにしたり、味噌汁や納豆などに入れるのもおすすめです。目安は小さじ1杯程度。
どれも同じでしょ?という方や、気になってはいるけど、どれを選んだら良いか分からない、という方も多くいらっしゃるのではないでしょうか。最近ではどんどん売られる油の種類も多くなり、オリーブ油ひとつとっても、緑色っぽいボトルが高価なものから手ごろ価格なものまで何種類も並んでいる商品棚をよく目にしますね。 選び方は様々な意見がありますが、私のおすすめの油の選び方をいくつかピックアップさせていただきます。
IOC(International Olive Council)という国際機関が定めた基準では9種類に分けられますが、ざっくりと、 〇バージンオイル(4段階) 〇精製オリーブオイル・(ピュア)オリーブオイル 〇オリーブポマースオイル に分けられます。
《バージンオリーブオイル》 オリーブの実をそのまま絞ったオイル(精製していない) 4段階あるうち一番良質なものはエクストラバージンオイルで、厳しい品質規格をクリアし、酸度は低く、風味が豊かです。
《オリーブオイル、ピュアオリーブオイル》 絞ったオイルを精製したり、ブレンドしてつくられたもの (日本はIOC基準ではなくJAS(日本農林規格)の基準で区別しておりますが、独自でIOCレベル、もしくはそれ以上の基準を定めている業者もあるようです。一般社団法人日本オリーブ協会はIOCに日本で唯一加盟し、国際規格と認められたオリーブオイルにはJOA認定マークがつけられています。)
・遮光性のあるボトルに入っているか オイルは酸化が大敵。太陽光だけでなく蛍光灯からも守ってくれるように色の濃い遮光容器に入ったもの、またはしっかり箱に入れてあるものがおすすめです。
・コールドプレス製法であるか オイルの抽出方法には圧搾、分離、溶剤など様々な方法がありますが、低温で(30℃以上にしない)抽出するコールドプレス製法は加熱による栄養素の損失や、トランス脂肪酸生成を防ぐことができます。
・その他 受賞歴やオーガニック、産地などの記載があるかなども参考に選んでいくと良いですね。
●ごま油 風味が良く、調理油としてもドレッシングにしても美味しいですね。圧搾一番搾りの製法がおすすめ。
●なたね油 くせがなく、価格も手ごろなものが多く万能な調理油ですね。圧搾抽出のものがおすすめ。国産、遺伝子組み換えされていない原材料なども確認すると良いですね。
●こめ油 ビタミンEなど抗酸化力をもつ成分が豊富で酸化しにくいのが特徴です。揚物にもおすすめですよ。圧搾抽出のものがおすすめ。お米が原料なのでほとんど国産であることも安心できる要素ですね。
●えごま油 シソ科の植物でゴマとは異なり、オメガ3脂肪酸が豊富に含まれます。加熱NGの油ですので生で摂取しましょう。クセがなく使いやすいです。コールドプレス製法のものがおすすめ。
●アマニ油 アマ科の植物の種子から抽出。えごま同様オメガ3脂肪酸を豊富に含みますが香りを強く感じることがあるかもしれません。お好みが分かれやすいです。 コールドプレス製法のものがおすすめ。
製法などのポイントを挙げましたが、どの商品にもメリットやデメリットはあります。こだわればこだわるほどコストもかかり手に入りにくいこともありますので、どれがダメというわけではありません。ご自分の中で納得できるものを選んでいきましょう。
栄養素の摂取量についてはなかなかきっちりとはいきませんが、お魚はお肉よりも調理が面倒と感じたり、ボリューム感に満足しにくかったりして、気づいたらお肉ばかりになっていたという方もいらっしゃるのではないでしょうか。お料理が苦手な方でも、サバ缶やお刺身、えごま油やあまに油でオメガ3脂肪酸をしっかり補っていきましょう。目安量を知って、お料理で使用する油や食材選びの工夫、外食や中食でも選び方に意識を向けていけると良いですね。
吉田 桃子 / Momoko Yoshida 管理栄養士 くらし薬膳 栄養アドバイザー
最終更新日:2024/10/29 16:26:49
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