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今年の春分の日は3月20日ですね。 祝日がお休みの方や、そうでない方も、当日やその前後でお墓参りに行かれる方も多いと思います。 お墓が遠方にある方は少し大変かもしれないですが、お花も咲き始め、春の訪れを感じたり、普段なかなか会えないご家族と集まったり、 良い機会と思う方もいらっしゃるのではないでしょうか。 さて今回は、春分の日についてお伝えさせていただきます。 まず簡単にどのような日であるか、まとめてみました。
春分の日とは←この部分にコンテンツなし
二十四節気とは もともと中国の季節区分1年を24等分したもの。 そのうち 春分 夏至 秋分 冬至 を「二至二分(にしにぶん)」 立春 立夏 立秋 立冬 を「四立(しりゅう)」 これらを合わせて「八節(はっせつ)」といい、よく耳にするかと思います。 ただ「暦の上では春だけどまだまだ寒い」など、実際の季節と少しずれていると感じるかと思いますが、 これはもともと中国の気候で決められたものであるため、日本とは少しずれる原因となっているようです。
さて春分の日にお供えし、いただくものといえば、牡丹餅(ぼたもち)です。 ちなみに秋分の日に食べるものは御萩(おはぎ)で、これらにも色々な意味があるようです。
二つの違いは、 ・牡丹餅…春に咲く牡丹の花にちなんで大きく丸型 ・御萩…秋に咲く萩の花にちなんでこぶりの俵型 どちらも同じお菓子で、餅を餡で包む(外側が餡)のですが、小豆を使うことには理由があり、 小豆の色「赤」は太陽、火、血の色であり、魔除けとなり、邪気を払い、災いから身を守るなどと考えられています。 また小豆は、古くから中国では漢方薬としても用いられており、日本には南北朝時代に入ってきたとされ、 小豆に砂糖を加えて作る餡は江戸時代に広まったそうです。 春に食べる牡丹餅はこしあん、秋に食べる御萩は粒あんとされておりますが、これは、 小豆が秋に収穫されることが関係しており、収穫したての秋は皮が柔らかいためそのまま粒あんに、収穫してから日がたち、 皮が固くなってしまう春には、こしあんにして食べやすくしたようです。 今は通年どちらも売られていますし、こしあん派、粒あん派など好みがあると思いますが、 昔は今と違い、季節によって食べやすいように工夫されていたようです。 私は特にこだわりなく、どちらも好きなのですが、こしあんのほうが消化はされやすいので、体調に合わせて選ぶのも良いですね。
では、小豆に含まれる主な成分、力について詳しくまとめていきます。
【たんぱく質】 小豆のアミノ酸スコア(注1)は82で比較的良質なたんぱく質といえます。 たんぱく質は、皮膚や筋肉、ホルモン、髪、爪などを作るのに役立ちます。 不足するとお肌の老化にもつながってしまいます。 (注1)アミノ酸スコアは、必須アミノ酸(注2)のバランスを表すもので、100を最高とし、牛乳や卵、魚、肉が100。 (注2)必須アミノ酸とは、体内で合成されず食物からの摂取が必要で「イソロイシン」「ロイシン」「リジン」 「メチオニン」「フェニルアラニン」「スレオニン」「トリプトファン」「バリン」「ヒスチジン」の9種類。
【ポリフェノール】 ポリフェノールは、赤ワインに多く含まれるとよく耳にする方もいらっしゃるかと思いますが、実は小豆には赤ワイン以上のポリフェノールが含まれるといわれます。 色素成分アントシアニンが多く含まれ、抗酸化作用が強く、活性酸素除去をし、アンチエイジング、生活習慣病予防、美白、美肌、目の健康などの効果が期待できます。
【サポニン】 苦み成分サポニンは抗酸化作用ももち、ポリフェノールで挙げた効果や、コレストロールや中性脂肪の抑制効果も期待できるといわれます。また利尿作用があり、むくみ改善にも役立ちます。小豆にはカリウムも多く含まれるためナトリウムの排出作用でよりむくみ防止につながるといえます。 【ビタミンB群】 B1、B2、B6が多く含まれます。 B1-糖質の代謝を助けます。アルコール分解、神経の働きを正常化、精神安定などにも役立ちます。 B2-脂質の代謝を助けます。皮膚や粘膜、髪、爪などの成長促進、体内で過酸化脂質の分解に役立ちます。 B6-たんぱく質の代謝に関わり、神経伝達物質の生成、免疫機能やアレルギー症状抑制に役立ちます。 【食物繊維】 不溶性食物繊維が多く含まれます。茹でることで、より増加するといわれます。 腸内で便のかさ増し、腸のぜんどう運動のサポートをして、便秘予防や改善に役立ちます。ただし不溶性食物繊維は、便秘のお悩みが強い方にはかえって便のかさが増えて硬くなり、出にくくなってしまう場合もあるため、注意が必要です。 他にもカルシウム、カリウム、マグネシウム、鉄、亜鉛等様々な栄養素が含まれます。 こうして成分を見ていくと、小さな粒でも素晴らしいパワーを持っていることが分かりますね。 お菓子だけでなく、普段のお食事でも摂りたくなります。カボチャと煮たり、サラダにトッピングするのもおすすめです。 あんこはお砂糖を沢山使いますし、さらにお餅をくるむので、最近は糖質が気になる方も多くいらっしゃると思いますが、昔はしっかりと栄養素が摂れるように考えられたごちそうだったのではないでしょうか。 当時、どれだけありがたく食べ伝えられてきたか、飽食の現代では本当の意味での体感は難しいですが、想像し、ありがたくいただく気持ちは忘れずに、伝え続けていけると良いですね。 普段からご自分の身体に合った食事内容や量を考えてバランスを整えておき、こうした行事の際には昔から伝えられてきたお菓子を上手に楽しむのも良いのではないでしょうか。 牡丹餅は油分を多く含む洋菓子よりも体に優しいですよ。 「食べたいけど、どうしても糖質が気になる」という方は、手作りにして、甘さ控えめや、カロリーゼロの天然甘味料ラカントを使用するなど工夫しても良いですね。 臨機応変に楽しんでみましょう♪
吉田 桃子/Momoko Yoshida 管理栄養士 くらし薬膳 栄養アドバイザー
最終更新日:2024/10/23 17:27:34
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