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甘味料なにが良い?~種類や特徴を知って上手に選んでいきましょう~ 【吉田管理栄養士】

甘味料なにが良い?~種類や特徴を知って上手に選んでいきましょう~ 【吉田管理栄養士】

食事やお菓子作り、飲み物などに甘味をつけるためには様々な甘味料がありますが、何を選んだら良いか悩まれる方もいらっしゃるかと思います。 また白砂糖は避けているという方もいるのではないでしょうか。 では茶色い砂糖なら体にやさしいのか、どれでも良いのか、天然のもの人工のものなど、甘味をつけるために登場しやすい甘味料の一部種類やそれぞれの特徴をまとめましたので、是非甘味料選びのご参考にしていただければと思います。

「糖」の分類

「糖質」については、過去のコラムで解説しておりますが、ざっくり分類すると以下の通りです。
炭水化物=糖質、食物繊維
糖質=単糖類、二糖類、多糖類、糖アルコール類、高甘味度甘味料などの総称
糖類=単糖類(ブドウ糖、果糖など)、二糖類(ショ糖、乳糖など)
小糖類=オリゴ糖(フラクトオリゴ、ガラクトオリゴなど)
多糖類=でんぷん、グルコマンナン、食物繊維
糖アルコール類=還元麦芽糖(マルチトール)、ソルビトール、マルチトール、キシリトール、エリスリトール
など

 

甘味料について

甘味をつける成分として甘味料は糖質系と非糖質系があります。
糖質系砂糖、でん粉由来の糖、その他の糖、糖アルコール
非糖質系天然甘味料、合成甘味料
人工甘味料とは、自然に存在しないものを人工的に合成してつくったもの。(糖アルコール、合成甘味料)

糖質系
 

砂糖(ショ糖)
サトウキビや甜菜からつくられたもので、製法により様々な種類があります。

①  分みつ糖(精製糖)
さとうきびや甜菜から糖みつを分離し、結晶(ショ糖)だけを精製したもの。
・上白糖(白砂糖) ・グラニュー糖 ・三温糖 ・ザラ糖 ・氷砂糖

②  含みつ糖
糖みつを分離せず、糖みつが含まれているもの。
・きび糖 ・甜菜糖 ・黒砂糖 ・和三盆 ・メープルシュガー
 
分みつ糖はミネラルを含む糖みつを分離してしまうため、ミネラルがほとんど残っていませんが、含みつ糖は糖みつを除去しないためミネラル類が残っています。
とくに黒糖は、カリウム、カルシウム、鉄、亜鉛、などが含まれます。
もちろんお砂糖ですので、たくさん摂ることはおすすめできないですし、ミネラルも一日分の必要量からしたらわずかといえますが、私たちの健康に役立つ栄養素が少しでも含まれる含みつ糖は、分みつ糖よりもおすすめといえます。甘さだけでなく風味も豊かですね。
ちなみに、はちみつはブドウ糖と果糖が主に含まれ、砂糖の主成分であるショ糖はわずかしか含まれません。はちみつも製法により種類が異なります。大きく分けて、・純粋 ・加糖 ・精製とあり、これも、加糖や精製されていない純粋はちみつの方がミネラル類は残ります。
 
異性化糖について
とうもろこしなどのでんぷんを原料とし、ブドウ糖と果糖を混合した液糖。

ぶどう糖果糖液糖果糖の割合が50%未満
果糖ぶどう糖液糖果糖の割合が50%以上90%未満

砂糖混合異性化液糖ぶどう糖果糖液糖もしくは果糖ぶどう糖液糖に10%以上の砂糖を加えたもの。
低温では砂糖よりも甘味を感じやすくなるのが特徴です。ジュース系やアイスクリーム、つゆ、たれなどに使われることが多いですが、液体状のものは知らずのうちに過剰摂取になりやすく、肥満や糖尿病になるリスクも高まりますので注意が必要です。
 
 
糖アルコール
種類は分類の項目で挙げています。エリスリトールはバナナやきのこ、みそ、しょうゆなどの食品にも含まれています。
「アルコール」とつくのでお酒のアルコールを想像してしまう方もいらっしゃるかもしれませんが、構造式が似ているだけで全く別物になります。
糖類を還元して作られ、以下の特徴があります。

・熱、酸、アルカリに強いため、加熱による変色やメイラード反応が起きない
・微生物の栄養源となりにくいため菌が増殖しにくい
・消化吸収されにくいため、血糖値への影響もせず、低カロリー

これらの特徴があることから、甘味をつけるだけでなく、食品加工や医薬品など様々な品質保持にも利用されています。
また、消化されにくいため、一度に大量に摂取するとお腹がゆるくなってしまうことがあるので注意が必要です。

非糖質系

天然甘味料
天然に存在する植物、果実から抽出したもの。
・ステビア ・甘草(カンゾウ) ・羅漢果(ラカンカ)

甘草と羅漢果はカロリーをもたずゼロカロリーですが、ステビアは他の糖質同様1gあたり4Kcalのカロリーがあります。ただ、ステビアは甘さが非常に強く、砂糖に比べて約300倍の甘さがあるといわれているため、一回の使用量は少量となり、砂糖を使用するよりもカロリー、血糖値上昇をぐんと抑えることができます。

合成甘味料
化学的に合成された甘味料。
・アスパルテーム ・アセスルファムカリウム(K) ・スクラロース ・サッカリン
・ネオテーム ・アドバンテーム

甘さはどれも砂糖より100倍以上あり、アスパルテームで砂糖の100倍~200、ネオテームに関しては10000倍程といわれています。
アスパルテームはアスパラギン酸とフェニルアラニン(1)から合成され、1gあたり4Kcalのカロリーがあります。ですが、甘さが強いため一回の使用量が少なく済みます。
他もほぼカロリーはもたないため、ダイエットや糖尿病向けの食品やプロテインなどにもよく利用されています。
(1)フェニルケトン尿症の場合、アスパルテームはフェニルケトンを含むため注意が必要です。
 
砂糖に比べ、カロリーや血糖値の上昇が抑えられる合成甘味料は、体脂肪が気になる方や血糖値が気になる方、糖尿病の方には強い味方であるといえますが、摂り過ぎたり、甘さに慣れたりしてしまうことで、甘味に対して鈍くなる、より甘いものを欲求しやすくなる、といわれ、また、腸内フローラを乱すという説もあり、健康面に良くない影響を及ぼす可能性もあるといえます。
もちろんどれも厚生労働省が安全性を調べ、摂取許容量と使用基準を定められていますが、データが不十分であるなど専門の方々で意見がわかれているようです。
いずれにせよ、何においても高頻度、過剰摂取は避けることをおすすめします。

甘味料なにが良い?~種類や特徴を知って上手に選んでいきましょう~ 【吉田管理栄養士】 

いかがでしたか。
それぞれの特徴やおすすめを解説しましたが、絶対にこれが良いというものはありません。
味のお好みや、使い勝手、求める健康効果は人それぞれですので、ご自身や家族にとってのベストなものを選ぶための選択肢、ヒントにしていただければ幸いです。
お料理、お菓子、飲み物などの用途、体調などによって使い分けるのも良いですね。
ドリンクやヨーグルトなどはあらかじめ甘味がついている市販品を選ぶより、無糖のものを選ぶことで、フルーツや甘味料など、量や種類に配慮して甘味をつけることができるのでおすすめです。
また、甘味料は市販品にも多く使用され、菓子類、ドリンク類だけでなく、お惣菜やドレッシングなど様々な食品に利用されていますので、原材料を確認してみましょう。
ただ甘いから、カロリーが低いから、という理由だけでなく、口にするものの種類を把握し選ぶことも大切に思います。
甘味料に限らずですが、過剰な摂取は体の負担になることも考えられますので、上手に選択し、活用していきましょう。

 

 

吉田 桃子/Momoko Yoshida
管理栄養士
くらし薬膳 栄養アドバイザー

最終更新日:2024/11/15 10:16:17