JKA日本くらし薬膳協会
薬膳で免疫力をアップしよう[竹田くらし薬膳本部講師]

薬膳で免疫力をアップしよう[竹田JKA主任講師]

冬はカゼの季節。 手洗い・うがい・マスクなど予防策は万全ですか? インフルエンザに加えて、今年は新型コロナウイルスによる肺炎も大きな問題となっています。外からのウイルスの侵入を防ぐとともに、免疫力を上げてウイルスや細菌に負けない身体を作ることも大切です。 薬膳は体調を整えるだけでなく、抵抗力を高めて自己治癒力を養うのにも役立ちます。 そこで今回は、薬膳で免疫力をアップする秘訣についてお話しします。

中医学における免疫力とは?

中医学では「免疫力=気の仕事」と考えています。

「気」は私たちの身体にとって基本的なエネルギーとなるもの。複数の働きを持っていて、その一つに、病気や不調の原因となるウイルスなどから身体を守る働きも含まれています。

そして、気の身体を守る働きには、身体を外側から守るシステムと、身体を内側から守るシステム2つがあります。
具体的に説明しましょう。

 

身体を外側から守るシステム

身体を外側から守るシステム、これは「衛気(えき)」と呼ばれる気が行っています。

衛気は身体の表面にあって、バリアのように身体をぐるりと取り囲み、外敵の侵入に備えています。例えるとしたら、身体の一番外側を守る防衛隊のようなシステムです。このシステムがしっかりしていれば、外からウイルスや病気の原因がやってきても、体内に入ることはできません。

でも過労や睡眠不足などで気を消耗してしまうと、このシステムが働かなくなってしまいます。身体の一番外側を守っている防衛隊の数が減り、衛気で作ったバリアは弱く脆くなって、ウイルスや菌が侵入しやすい状態になってしまうのです。

夜は免疫力も無防備になりやすい

さらに、衛気は夜になると身体の表面から体内へと移動します。
つまり夜は警備が手薄になり、無防備な状態になりやすいということ。夜中まで起きていたり、就寝時間が遅いと、ウイルスや病気の原因が体内に侵入して、体調を崩しやすくなってしまいます。
夜勤がある仕事の人、受験勉強などで夜中に頑張っている人、朝方まで起きて遊んでいる人など、夜型の生活を過ごしている人は、特に注意が必要です。

また、衛気がきちんと働いている時には、お肌はしっとりとしています。
手のひらでお肌を包み込むように触ってみてください。
手のひらとお肌が密着して吸い付くように感じる人は、衛気が体表を守ってくれています。逆にお肌がカサカサで潤いを感じられない人は、衛気によるバリアが弱くなっているかもしれません。

身体を内側から守るシステム

身体を内側から守るシステム、これは「正気(せいき)」と呼ばれる気が行っています。

正気は、免疫力としてだけでなく、自己治癒力としても働きます。
体内に入ってきたウイルスや病気の原因と戦いを繰り広げたり、本来の健康的な状態へと戻るように病気や不調からの回復を助けたりします。

正気は「生気」と書いたほうが、イメージしやすいかもしれませんね。

◇目がキラキラと輝いている
◇顔色が良い
◇髪の毛やお肌にツヤがある
◇ハキハキとしゃべる
◇精神状態も良好

こんな風に生気に満ち溢れている人は、正気が充実している人と言えます。
あなたはどうですか?
また、あなたの周りにも、年齢を問わず、笑顔が素敵でイキイキと輝いている人がいますか?

正気と邪気のバランスが大事

中医学には、生気に対して「邪気(じゃき)」という言葉があります。
これは、病気や体調不良の要因となるものの総称です。そして、中医学ではこの正気を重要視していて、健康を維持するためには、正気の充実が大切であると考えています。

正気が充実していれば、邪気があっても不調は比較的軽く済みます。しかし、正気が不足していると、弱い邪気でも不調が重く深刻な状態になる場合があるのです。これが一般的に言われる抵抗力が弱っている状態です。

つまり、健康な状態を維持するためには、「正気」を減らさないこと、そして補充していくことが重要なのです。

気の状態をチェックしてみよう

身体を外側から守る「衛気」、身体を内側から守る「正気」、この2つの免疫システムのおかげで私たちは守られています。そして、この両方とも気の働きで成り立っています。つまり、気の不足が免疫力・抵抗力・自己治癒力の低下に繋がるということです。

では、あなたの気の状態はどうでしょう?しっかり体を守れる状態になっていますか?
ちょっとチェックしてみましょう。

□疲れやすい
□疲れがとれない
□声が小さい
□食後にすごく眠くなる
□体が冷えやすい
□胃腸が弱い
□カゼを引きやすい
□体調不良が長引くことがよくある

これらにチェックが付く人は、気が不足して体を守る「衛気」と「正気」のシステムが、きちんと働いていないかもしれません。また胃腸が弱い人は、食べ物から気を作って補充する力が弱くなります。胃腸をいたわり、気を補う食べ物を意識して取り入れることが、免疫力アップに繋がります。

お米を食べて免疫力アップ

 

あなたは普段お米を食べていますか?

お米は「気を補う」「胃腸の働きを整える」このどちらの働きも持っている、免疫力アップの基礎を作る食べ物なのです。

そして、一日の活動エネルギーとなる気をしっかり補充するためにも、朝食はパンよりもご飯がおすすめです。気を補う働きは「米・芋・豆類」など主食になる食べ物に多く含まれています。しかし、パンや麺類の材料となる小麦には、気を補う力はあまり含まれていないからです。

我が家の朝食事情

我が家では、普段の朝食はご飯とお味噌汁がメインです。
お味噌はお腹を温めて内蔵の働きを活性化するので、ご飯とお味噌汁は朝食にベストな組み合わせです。

おかずは「鮭」「鶏そぼろ」「サバの塩焼き」「ちりめん山椒」「牛肉のしぐれ煮」「とろろ」「卵焼き」などから1~2品、日替わりで食卓に並びます。気を補ったり胃腸を整えたりする働きのある食べ物を意識して選んでいます。

毎朝、きちんとした朝食の準備をする必要はありません。
私も、前日の夕飯の残りを利用したり、焼いて冷凍しておいたものを使ったり、お惣菜や瓶詰も便利ですよね。お味噌汁も野菜やキノコ類は切って冷凍しておくと、お鍋で煮て味噌を入れるだけで簡単にできます。おかずがない日は、おにぎりとお味噌汁だけでもいいのです。

それでも「朝食にご飯は無理」と言う時には、昼食にご飯とお味噌汁が付いた定食を選びましょう。

免疫力を落とさないための私の8か条

薬膳を学んでから、ありがたいことに大きく体調を崩すことがほとんどなくなりました。

以前は毎月のように高熱を出していた時期もありましたからね。薬膳を学んでからずっと実践している「気」と「胃腸」を意識した生活のおかげだと思います。

私が普段から免疫力を落とさないために心がけていることを、最後に記しておこうと思います。

◇免疫力を落とさないための私の8か条◇
①体や首元を冷やさない
②朝ご飯を食べる
③気を補う食べ物を積極的に食べる
④胃腸に過度に負担をかけない
⑤疲れたら休憩する
⑥23時には布団に入る
⑦くよくよ考え込まない
⑧なるべく笑顔で過ごす

この8か条通りにはいかないこともありますが、私はこれを基準にしています。
免疫力が下がっている時にも理由がわかるので、立て直すのも早いですよ。
少しでもみなさんの参考になりましたら幸いです。

 

竹田あやこ/Ayako Takeda
JRECくらし薬膳本部講師
くらし薬膳料理研究家
国際薬膳調理師
JREC認定リフレクソロジスト
整体師

最終更新日:2025/04/01 11:47:51