JKA日本くらし薬膳協会
疲労回復で冷えを根本から整える温活薬膳[竹田JKA主任講師]

疲労回復で冷えを根本から整える温活薬膳[竹田JKA主任講師]

本格的な冬がやってくると「手がキンキンに冷えて温まらない」「お風呂に入っても手足が冷えて眠れない」など、冷えに関する悩みが気になり始める人も多いのではないでしょうか。今回はそんな頑固な冷え性さんに、冷えを根本から整える温活薬膳をお伝えします。

疲れると体は冷える

温めてもなかなか温まらない頑固な冷え、その要因のひとつに疲労があります。

中医学では、体が疲れている状態のことを気虚(ききょ)と呼び、「気」という体を動かすエネルギーが不足していることをあらわします。また、気は体を温める役割もしていて、気が不足すると体を温める力も弱くなります。
つまり、疲れやすい人は冷え性になりやすいのです。

疲れている時には汗をかきすぎないで

頑固な冷えを改善しようと、熱いお風呂に入ったり、サウナや岩盤浴で体を温めたりしていませんか?実はそれ、逆効果になっているかもしれません。

体が疲れている時は、汗をかきやすくなっていることがあります。これは、気の不足によって、体に必要な潤いを閉じ込めておく働きが弱っているから。
そんな時に、体を温めようとして汗をかきすぎてしまうと、汗と一緒に体を温める気まで流れ出してしまうことになるのです。そうなると、気の不足がさらに進み、ますます疲れやすく冷えやすくなってしまいます。
疲れている時には、じんわりと温まるくらいの緩やかな入浴にしてくださいね。

疲労回復で冷えを根本から整える温活薬膳[竹田JKA主任講師]

温活は疲労回復からはじめる

私たちの体は、サインを出して体の状態をいつも知らせてくれています。そのサインを素直にキャッチすることができると、体調を大きく崩すことが少なくなります。
だから、疲労を感じた時は、休んでエネルギーを回復させましょう。
ご飯を食べて、休息や睡眠を充分に取ることで、また元気に動けるのなら、それは一時的な気の不足なので問題ありません。

でも、様々な事情で私たちは自分のことを後回しにしがち。疲れを溜めたまま日々を送っていると、次第に慢性的な気の不足が生じてきます。これが頑固な冷えに繋がってしまうのです。
つまり、冷えを根本から整えるには、まずは疲労回復が大切なのです。

慢性的な気の不足をチェック

頑固な冷えに繋がる「慢性的な気の不足」があると、こんなサインがあらわれます。

◇地声が小さくて聞き取りにくい
◇少しの外出でも疲れてしまう
◇人に会うと疲れてしまう
◇胃腸が弱くて太れない

これらに当てはまる人は、自分では気がつかない間に、かなり疲労が蓄積している状態です。すぐに心と体を休めて疲労を回復させましょう。
また、もともと体質的に気の不足になりやすい人もいます。特に、胃腸が弱くて食が細いという人は、エネルギーを作り出す力が弱く、疲労を感じやすく冷え性になりやすいため、無理は禁物です。

疲労回復の温活薬膳

薬膳は、普段の食事で気を補って疲労を回復させることが得意です。頑固な冷えがある人は、気を補う食材を普段から意識して取り入れてみてください。

まず、主食はご飯がおすすめ。パンや麺類などの小麦製品には、気を補う力がそれほどありません。
ご飯を食べない時には、主菜や副菜に芋や豆類などを使った一品を加えましょう。豆はすぐに使える缶詰やパウチのものが便利です。

また、もち米や山芋は気を補う力が強く、疲労回復にぴったり。白米2合にもち米1合を混ぜて、いつもと同じように炊飯器で炊くだけで、気を補う薬膳ごはんになります。
山芋はお味噌汁やステーキに。火を通すことで消化しやすくなって胃腸への負担も減らせます。

疲労回復で冷えを根本から整える温活薬膳[竹田JKA主任講師]

温活薬膳の代表格はエビ

冷え性さんのための温活薬膳には、よくエビが使われます。
長寿の食べ物としても有名なエビには、疲労回復に加えて、体を温める「陽気(ようき)」を補う働きがあります。また、成長と発育、生殖や老化に深く関係する「腎」を元気にする働きもあるので、妊娠や出産、加齢によって強い冷えを感じるようになった冷え性さんにもおすすめの食材です。

手軽に温活するには、乾燥の小エビを常備しておくと便利。ご飯にふりかけたり、お野菜と和えたり、お味噌汁に加えたりするだけで、体を温める力を養う薬膳ごはんになります。

まとめ

・頑固な冷えの要因には「疲労」がある
・疲れたり汗をかきすぎたりすると体を温める力が弱る
・温活にはまずは疲労回復が大切
・冷え性さんにはパンよりご飯がおすすめ
・もち米、山芋、エビは温活にぴったりの薬膳食材

温活は体を温めるだけでなく、冷えの要因へのアプローチができると効果的です。
頑固な冷えがある人は、ぜひ疲労回復から始めてみてくださいね。

くらし薬膳が、あなたの健康と笑顔の手助けとなりますように。

<気を補う食材>
お米、もち米、じゃがいも、さつまいも、かぼちゃ、山芋、大豆、えんどう豆、とうもろこし、鶏肉、豚肉、牛肉、エビ、鮭、サバ、マグロ、穴子など
 
<お料理のアイデア>
さつまいもご飯/コーン入りポテトサラダ/かぼちゃと豆の煮物/さつまいものきんぴら/山芋の磯辺揚げ/チリコンカン/豆のスープ/エビと山芋のお味噌汁など

<気を補う温活薬膳レシピ>

・長芋とエビのふわふわ焼き
https://www.kurashi-yakuzen.net/cn4/cn6/cn8/pg2631565.html
・もち米入りパワーアップご飯
https://www.kurashi-yakuzen.net/cn4/cn6/cn7/pg2622167.html
・魯肉飯(ルーローハン)
https://www.kurashi-yakuzen.net/cn4/cn16/pg2898022.html
・豚肉とエビと長芋のシュウマイ
https://cookpad.com/recipe/6443207
・さつまいもの黒胡椒ソテー
https://cookpad.com/recipe/4201430

 

竹田あやこ/Ayako Takeda
JKA主任講師
くらし薬膳料理研究家
国際薬膳調理師
整体師

最終更新日:2025/04/01 11:37:33