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春分が近づくと、空気の中にふわっとしたやわらかさが混じり始めます。日差しが明るくなったり、道端の草花が顔を出したり、冬の間にぎゅっと縮こまっていた世界がゆっくりと動き出すような季節です。
そんな春は、中医学の考え方では「木(もく)」の行に属します。木は、まっすぐ伸びる、広がる、芽吹くといったイメージを持つ性質。自然界の動きと同じように、私たちの体や心も“外へ向かって伸びていく力”が高まる時期です。
この季節に元気になるのが五臓の「肝(かん)」です。 肝は、情緒の安定や気血のめぐりをサポートする大切な存在。春になると肝が活発になる一方で、バランスを崩しやすくもなります。そのため、春はイライラしやすい、ため息が増える、めまいが起こりやすい、眠りが浅い…といった“春のゆらぎ”が出やすい季節でもあります。
気温差や環境の変化も重なり、なんとなく落ち着かない、やる気が出ないと感じる方も多いかもしれません。
そんな春に寄り添ってくれるのが、五行のキーワードでもある「酸味」です。 レモンやゆず、梅、いちごなどのすっぱい食材は、肝の働きをサポートしてくれます。食卓に少し酸味を加えるだけで、気分がすっきりしたり、体が軽く感じられることがあります。 ただし、酸味には、春ののびのびとした気を妨げてしまう引締め作用もあるので、摂りすぎには注意。香りのよい食材と組み合わせるのがおすすめです。
春は気が上にのぼりやすい季節でもあるので、気の巡りを助けてくれる香りのよいものがおすすめ。 ミントやジャスミン、ユズや陳皮(みかんの皮)などは、気の巡りを整えてくれるやさしい味方。お茶として取り入れると、気持ちが軽くなったり、深呼吸がしやすくなったりと、春の体に心地よく寄り添ってくれます。
また、五行の色である「青(緑)」も春の象徴。菜の花やほうれん草、小松菜、春菊など、緑の野菜は春の体をサポートしてくれます。また、フキノトウやタラの芽などの山菜も、冬の間に溜め込んだものを外へ出し、体の巡りを整える手助けをしてくれます。食卓に緑が増えると、見た目にも春らしさが広がります。
春は、自然界も人の心や体も「動き出す準備をしている季節」。無理に頑張る必要はなく、ゆっくりと伸びていく木のように、自分のペースで整えていくことが大切です。香りのよいお茶を飲んだり、酸味を少し取り入れたり、緑の野菜を意識して摂ってみたり。そんな小さな選択が、春を心地よく過ごすためのやさしい養生になります。季節のリズムに寄り添いながら、心と体がのびのびと広がっていく春を楽しんでいきましょう。
春の体をやさしく整えてくれる「酸味」を手軽に取り入れたいときにぴったりなのが、〈春菊とツナのポン酢和え〉です。 春菊のほろ苦さとポン酢のさっぱりした酸味がよく合い、気の巡りを整え、助けてくれる一品。 ツナを合わせることで食べごたえもあり、忙しい日の副菜にもぴったりです。
春は五行で「木」に属し、体も心も外へ向かって伸びていく季節。そんな春のエネルギーをサポートしてくれるのが、緑の野菜と酸味の組み合わせです。春菊の鮮やかな緑は、春の五行の色「青(緑)」に通じ、季節のリズムに寄り添った養生になります。
火を使わずにさっと作れるので、あと一品ほしいときにも便利。春の食卓に、軽やかな酸味と緑の彩りを添えてみてください。
▼〈春菊とツナのポン酢和え〉レシピはこちら https://kurashi-yakuzen.jp/recipes/garland-chrysanthemum-and-tuna-with-ponzu-sauce/
日本くらし薬膳協会 編集部
最終更新日:2026/03/17 14:43:29
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