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中医学では、夏の激しい暑さを「暑邪(しょじゃ)」と呼びます。暑邪には「熱を伴う」「水分を奪う」「元気を消耗させる」という3つの厄介な特徴があります。
体内に暑邪が侵入すると、激しい発汗によって体に必要な水分や潤い(津液:しんえき)が失われます。さらに困ったことに、中医学では「汗は心(しん)の液」と言われ、大量の汗とともに私たちのエネルギーである「気」も一緒に漏れ出てしまうと考えます。夏になると「体がだるくて動けない」「頭がぼーっとする」などと感じるのは、潤いとエネルギーが同時に不足してしまうからなのです。
暑いからといって氷の入った冷たい飲み物やアイスクリームばかりを摂っていると、今度は胃腸(脾胃)が冷え切り、消化機能が落ちてしまい、体に必要なエネルギーである「気」を作れなくなります。そこで活用したいのが、食材が持つ冷ます力、すなわち「清熱(せいねつ)」作用です。
旬の夏野菜や果物は、体にこもった余分な熱をやさしくクールダウンしてくれる性質(寒・涼性)を持っています。また、利水作用によって体に溜まった余分な湿気を排出してくれます。
熱中症対策にはこまめな水分補給が欠かせませんが、実は「ただ水を飲む」だけでは、失われた潤いを体に留めることができません。ここで重要になるのが、体内で潤いを作り出すこと「生津(せいしん)」です。
薬膳には「酸甘化陰(さんかんかいん)」という有名な言葉があります。「酸味」と「甘味」を組み合わせて摂ることで、体の中に良質な陰液(栄養と潤い)が生まれるという知恵です。
このように、水やお茶にほんの少しの「酸味」と「自然な甘味」を加えるだけで、ただ水を飲むよりもはるかに効率よく体が潤います。
日中の外出や調理の後は、首、脇の下、鼠径部など、太い血管が通る場所や頬、手のひら、足の裏を冷やすことも物理的な「清熱(せいねつ)」になります。また、食事は弱った胃腸に負担をかけずに栄養を取り込めるよう消化のよいものにし、夜はしっかり睡眠をとって「気」を補い、翌日に疲れを持ち越さないようにしましょう。
~あさりと豆のトマトスープ~
コラムでご紹介した、体にこもった熱を逃がす「トマト」を使ったお手軽レシピです。 トマトの甘酸っぱさは、汗で失われた潤いを体内で作り出す「生津(せいしん)」にぴったり。さっぱりと食べやすく、夏の乾いた体を内側から潤してくれます。
▼レシピの詳細はこちら
https://kurashi-yakuzen.jp/recipes/tomato-soup-with-clams-and-beans/
ぜひチェックしてみてくださいね。
一年で最も暑い「大暑」の時期。冷たいものの摂りすぎで胃腸の調子を崩さないように注意しながら、自然の恵みである「清熱・生津」の食材を上手に取り入れてみてください。
体の中から余分な熱を払い、潤いに満ちた軽やかな体で、この夏を元気に楽しみましょう!
日本くらし薬膳協会 くらし薬膳編集部
最終更新日:2026/07/22 13:39:37
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